『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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ちょっと多いか、残ったら明日の朝飯にでもしろよ、と思っていたのに、皿は綺麗に片付いた。よく食べ、よく飲む奴だ。
暫くすれば日付が変わる。そろそろお暇しなければ終電に間に合わない。
「もうこんな時間か、終電——」
男がグラスを空けるのに上を見たついでに、時計に目を留めて言った。
「ああ、そろそろ行くわ」
俺は空いた皿を纏めてシンクに運ぶ。
「泊まってっても構わねぇぞ? 布団一組しか無ぇけど」
「あー、やめとくわ、明日も仕事だし」
上着を着ながら答える。
「そうだな」
「片付け、出来なくて悪ィけど」
踵を靴に収めながら。
「そんくらい、やる。道、分かるか?」
「お前と一緒にすんな。じゃあな」
扉を開けて、軽く手を挙げる。
「ああ、また」
「ああ、またな」
扉が閉まる。
駅に向かう。勿論、無駄に横断歩道を渡ったりはしない。
終電の出る三分前にホームに着いた。あいつの道順なら、間に合わなかったかも知れない。
間に合わなかったら——タクシーだ、出費は痛いが。
やっぱ泊めて、は無いだろ。
だいたい、客用布団も無いのに、泊まってって構わないって、どういう事だよ。
オールで飲むのか?平日だぜ?明日も仕事だろ?
ソファの一つも無い部屋で。座布団だって寝るには足りない。一つの布団で寝るつもりかよ。
味醂買って来る女の子相手なら、それで良いのかも知れないけど。
名前も知らない奴の家に上がり込んで、名前も知らない奴を家に引っ張り込んで。
ひょっとして、そういうつもりなのかと思ったが、普通に飲み食いしただけだった。
当たり前だ。何だよそういうつもりって。期待なんてしてねぇよ。何だよ期待って。男同士じゃねぇか。
男同士だからこそ、てらい無く出来る。
これが、女の子相手なら、もっと慎重に進めるだろう。
いきなり家に上がり込むなんて、いきなり家に引っ張り込むなんて。
名前も知らないのに。
勤務先と、実家でりんごを作ってる事くらいしか、知らない。今日知ったのは、あのコーヒーを愛飲しているらしい事と、家。食い物と酒の好み。迷子なトコときれい好き。
終電に揺られて考える。
何で誘われたんだろう。
白ワイン、俺が飲む用に買うのかよ。
またな、って、何をまた、だよ。
昨日はどうして寂しかったんだ。
今は? 何でちょっと寂しいの。
やっぱり、期待してたんじゃねえの?
何を?
何かを。
***
皿を洗いながら考える。洗うったって、皿五枚とグラス三個、箸が一組だ。箸は余分が無いから、金髪は割り箸を使った。ついでにタンブラーも洗う。即席の灰皿も。鍋の類いはきれいに洗ってあった。ゴミも小さく一纏めになっていた。やるべき事は直ぐに終わってしまった。
今日買って残ったのは、塩昆布と片栗粉だけ。片付けようと戸棚を開けて、味醂が目に入る。賞味期限がどうとか言ってたか。どうせ使わない。棄てて、空いたスペースに、塩昆布と片栗粉を置いた。
終電にぎりぎりの時間だった。
走れば間に合うかも知れないが、結構飲んでた。もしかしたら引き返して来るかも知れない。
終電が行ってしまった時間から、三十分待った。
チャイムは鳴らない。
朝飯用に炊飯器をセットして、布団を敷く。
馬鹿だな、一つの布団で寝るつもりだったか?
タクシー捕まえるに決まってるだろ。
帰り際、また、と言ったら、またな、と返ってきた。
本当に、また、があっても良いのか。
単純に、給湯室で道を挟んで顔を会わせる事を指しているのか。それとも、また、こうやって飯を作ってくれるのか。
いつ、なら、誘っても不自然じゃないだろうか。
勝手が分からない。
→12
20130628-0630,0712,0717,0718,0724
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