『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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押し入れが一間あるだけの六畳一間、出ているのはスーツが掛かったハンガーラックと、小さいテレビが乗っかった横倒しのカラーボックス、小さめの卓袱台。壁にはシンプルな時計とカレンダー、隅にはダンベルが無造作に転がっている。殺風景な部屋だ。まあぬいぐるみが飾られててもなんだが。
座布団を取り出す時にちらりと見えた押し入れの中も、片付いていた。借りたトイレも、清潔だった。さては整理整頓掃除が趣味だな。
***
卓袱台の上には皿が四枚。そこに手渡された枝豆とビールを置く。もう余地が無い。
「買ってきたもんだけで、こんだけ作ったのか」
「枝豆とビールは勝手に出した」
分かってる、と枝豆を莢から口の中に出して頷く。
「調味料借りたぞ、酒醤油塩胡椒胡麻油。ラップとホイルも使ったからな」
「こんだけの短時間で」
「こんなもんだろ?」
金髪は缶ビールの蓋を開けて呷った。
ゴミ箱から、ツナの空き缶を一つ出し、金髪に渡す。
「何?」
金髪はきょとんとしながら矯めつ眇めつしている。
「灰皿。無ぇから。吸うだろ?」
「ああ。サンキュ」
金髪が笑って、ポケットから煙草とライターを出す。
「シンクのコーヒー滓、使って良いか?」
「ああ?ゴミだぞ?」
金髪は立ち上がり台所に行くと、コーヒー滓を空き缶に移す。どちらもゴミだ。
「湿ってるの灰皿に敷くと良いんだぜ? まあ、吸わねぇんじゃ、どうでも良いか」
「何だその豆知識。おばあちゃんの知恵袋か」
「お前だってゴミ箱にコーヒー滓入れてるじゃねぇか。しっかし、自分で豆挽くんだな。意外」
金髪が煙草を咥えて火をつける動作を、随分様になっていると思いながら見た。
「取り皿も無ぇし、直箸で良いよな?」
金髪が油揚を齧りながら言う。俺はとっくにもやし炒めに箸を突っ込んでいる。口に入ったまま喋れないのでぶんぶんと首肯する。金髪は俺をにやりと見て、もやしに箸を付けた。
「不安とか、無かったか?」
「何がだ」
「風呂入れって言われて。だって俺、殆ど知らない人だろ?部屋に一人で置いといて、財布とか盗られて居なくなってたかも知れないだろ?」
そういえば、そうか。
「まあ、盗られて困るもんも無いし」
「通帳と印鑑とか、カードとか、いろいろあるだろよ?」
「だってお前、そんな事するか?」
「しねぇけど」
「だろ?」
金髪は、下唇を突き出した。
「おおらかだねえ?」
「おおらかって言うか?そういうの」
「知らねぇ」
その言い方は随分子供っぽいと思った。
「お前はどこにも行かずに飯作ってたし、勤め先も分かってるし、俺ん家の何か盗む為に——昨日今日勤め始めたんじゃないだろ? そんな手の込んだ事されるような財産、無ぇよ」
「まあ、そうか。大雑把だけど、正論だな」
「だろ?」
そんな事気になるんなら、風呂入れなんて言わなきゃ良かったんだ。そしたら、眺めていられた。
「きれいにしてんだな」
金髪が部屋をぐるりと見渡して言う。
「まあな、掃除ぐらいは」
「殺風景な部屋だな」
「ぬいぐるみがあったら怖ぇだろ」
金髪が吹き出した。
「俺、さっきそれ思った」
ぬいぐるみを愛でていると思われるのも嫌だが、それもどうだ。
「なかなか失礼な感想だな」
「だって、お前、ぬいぐるみと喋ってると思われるのもどうよ?」
金髪は目に涙をためて笑っている。
「俺も今そう思ったとこだ」
俺も吹き出した。
「豪語するだけの事はあるな」
「ん?何が」
「美味い」
酒も飯も進む。
「そりゃどうも。お褒め頂き光栄」
金髪は静かに笑って酒を飲む。
グラスに氷を入れて、蕎麦焼酎を注ぐ。
「飲むか?」
「頂く」
金髪が中身を舐める様に飲み、舌で転がしている。
「これ、何?」
「蕎麦」
「へー。結構あっさりしてんだな。初めて飲んだ、っても俺、焼酎はそんなに飲まないんだけど」
「何飲むんだ」
「取り敢えずビールだよな、あとはワインとか。白が好きだ」
「あーワインは無ぇな。今度買うか」
金髪がグラスを呷った。飲み込む音が大きく響く。
金髪のグラスに追加してやるついでに、自分のロックも作る。
黙った金髪の頬が赤い。酔いが回ったか。水を注いだグラスも金髪に渡す。
「こっちも飲め」
「…ああ。サンキュ」
ごくごくと、金髪は喉を鳴らして飲んだ。グラスは立ち所に空になった。
→11
20130712,0717-0719,0722,0724
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