『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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「相談が、ある」
「何、ロロノア君?」
「ゾロ、だ。エース」
「…了解、ゾロ。飲みにでも行く?」
終業後、エースに声を掛ければ、気軽に応じられた。しかし微かに油断ならない気配が漂う。俺の緊張がそう思わせるのだろうか。
「あんたの大事だった奴、との、事で」
突き出しが出されて直ぐに切り出した。
「それ、誰の事?」
エースはへらりとした顔でとぼける。分かってるくせに。
「サンジ」
エースの目が光った。
「そんなんじゃない、んじゃないの?」
「そう言うしか無いだろ」
「認めるんだ」
「そこを隠してちゃ、相談にもならねぇよ」
「何で俺に相談するの」
「知ってるだろ、サンジの事も、その、男同士の、事も」
エースは息だけで笑って、グラスを軽く挙げた。それに倣ってグラスを挙げる。早く喉を潤したかった。
「サンジが何か言った?」
「何も。喋ってもねぇよ、あんたとサンジが再会した日の朝以来」
「ああ、そうね。そっからぱったり、給湯室でさぼらなくなったねぇ、ロロノア君は」
終始軽い調子だったエースの声が、不意に尖った。
「サンジの過去を、俺が勝手に明かす訳無いだろ」
背筋が知らず伸びる。エースの本質は、恐らくこちらだ。生半な態度では、火傷を負う。
「でも、あんたもサンジも、大事そうに、見てた、から」
エースの目が、僅かに弛む。
「お互い大事に思ってた過去が、あるんだと思う。勿論、俺の勝手な想像だけど、——悔しい、と、思う」
エースは黙って、先を促す。
「大事に、したい」
するりと出た言葉が、それが全てだと腑に落ちた。
「大事なんだ。失くす事考えたら、堪らなくて。誰かをこんな風に思うのは、初めてで、そう思う相手が、その、男だってのが、想像した事も無かったから、どうしたら良いのか、全く想像もつかなくて」
一つ息を吐いたエースは、軽やかな調子に戻って言った。
「仮にも上司に、カミングアウトしちゃうんだ?」
「…隠さなきゃならねぇような事だとは、思わねぇよ。それに、あんたは、その…同類、なんだろ」
「同類?誰が。お前と?俺が? ——何の?」
「その、男同士で、……」
今度こそエースは呆れた様な息を吐いた。
「確かに俺は、恋愛対象を異性に限定はしないけど」
射竦められる。
「一緒にされたくはねェなァ?」
確かに、今の俺がエースと同じ部類であると言うのは、無理がある。全く、太刀打ち出来る気がしない。
歯噛みしていると、エースが猶呆れた様に言った。
「で?何が知りたいの、具体的に」
具体的に。サンジの過去が気にならない訳じゃ無い、けれど、エースに明かす意志は無いし、エースの口から聞きたい話でも無い。
「男同士の、その、性的な接触ってのは、……」
言い淀んだ俺に、エースはにやりと笑った。
「俺に訊くの?それ。——サンジの、愛し方を?」
息が止まるかと思った。
二の句が継げない。
絶対聞いちゃ駄目なやつだろ、それ。
「確かに、お前が言う様にサンジは俺にとっても大事な奴だ。傷付けられちゃ、困る」
エースはグラスを呷って空にした。
「一個だけ、教えてやるよ」
「サンジさ、今、幸せな恋、してるんだって」
思わず見張った目をエースに向けると、思った以上に真摯な顔に迎えられた。
「後は、二人でどうにかしろよ。正解なんて無ェんだ、二人で探して、二人で作れば良いよ。二人だけの有り様は、二人にしか分からないんだから」
思い切り横面を張られて、目を覚まされた気分だ。
「まあ、良いアダルトショップ紹介するくらいならしてやっても良いけど」
エースはからからと笑い、伝票を持って去った。
その後ろ姿を見て、サンジは幸せな恋をして来たのだろうと思う。悔しく思う。けれど。
サンジは今、幸せな恋をしている。
俺も、サンジと幸せな恋をする。
グラスに僅かに残る酒を飲み干す間に、その為に成すべき事を考えた。
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20131115,1126,1128,1129,1130
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