『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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宣言通り七時にうちの会社に俺を迎えに来たエースと、飲みに行った。
懐かしい過去を共有する友人として、話をした。
離れていた間の事。エースはどこに何年赴任してどんな仕事をしてきたとか。俺は卒業して今の会社に入った経緯とかどんな仕事だとか。音沙汰なかった旧友と思いがけず再会した男として、普通の。
普通とちょっと違うのは、どんな女の子と付き合ってきたかの話に、男の話が混じるくらいで。
エースも俺も、そういう嗜好の持ち主だった。出会った時、エースはそれを自覚した後で、俺は自覚する前だった。俺はエースによって自覚した。再会した今も、俺たちはそういう嗜好の持ち主のままだと判明した。おいそれと変わるようなもんじゃないしな。きっと一生変わらない。
それまでの気軽な会話が一段落して、少し緊張しながら切り出した。
二人の、事。別れた時の。避けていては多分、良くない事になるだろう、核心。逃げていたって、一つも良い事はないだろうから。
「一緒には行けなかったし、来て欲しくなかったし、待てなかったし、待ってて欲しくなかった、んだよな」
エースは相変わらず優しく気軽に答えた。
「うん。大好きだったけど、若かったから。無理だったよ。覚悟も出来てなかったし。お互い様、だろ?」
全く、お互い様だ。
ほぅ、と零れる溜息は、きっと安堵のそれ。
恋人になる前みたいに喋って、結構辛かったのは全部忘れて、また、ただの友人になれそうな気がする。
「こうして穏やかに話せるのはさ」
エースの事はとても好きだと思うけど、あの頃の気持ちとは違う。
「大人になったからかな」
エースが意味有り気に笑う。うん、そんな顔されたって、ときめいたりしない。
「サンジが今、幸せな恋してるからだろ」
「え、そんなの分かるの」
「お、ビンゴ?」
「うわ、カマかけられた!」
大丈夫だ、笑える。ただの友人で、居られる。
「うちの会社のロロノア、今日俺と給湯室にいた奴」
「うん?」
心臓が少し跳ねた。それをエースに気付かれるのは、嫌だなと思う。
「親しいの?」
「そいつが、何か言った?」
エースの目が、少し、優しさを削いだ。
「サンジとどんな知り合いかって訊くからさぁ、知りたいか?って訊いたら、別に、って」
凄ェ、答えに困る。
「ロロノアさんは裏の会社の金髪さんに夢中、って女の子達の噂よ?」
急にエースの声が軽くなった。
「へ?」
「裏の会社の金髪ったらサンジの事だってのは認めたけど」
エースが悪そうに笑った。ああ、こんな表情だって好きだったのにな。
「そんなんじゃない、ってさ」
じゃあ、どんなの?
詰め寄りたい気持ちと、そりゃそう答えるしかないよな、という気持ちと。
ゾロは、どんな気持ちで言ったんだろう。どんな気持ちで、俺たち——俺を見るエースと、エースを見る俺を、見たんだろう。
→5
20131114,1119,1120,1121,1123
*『嗜好』にするか『指向』にするかは迷いました。迷った結果、サンジにとっては『嗜好』だと判断しました。
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