忍者ブログ
『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

*6月25日から8月2日まで連載していた現代パラレル『給湯室』の続編 →1
 11月13日付『誕生日の夜』翌日と、サンジの過去

 『恋人』 1 2 3

拍手




 *****
      



 宣言通り七時にうちの会社に俺を迎えに来たエースと、飲みに行った。
 懐かしい過去を共有する友人として、話をした。
 離れていた間の事。エースはどこに何年赴任してどんな仕事をしてきたとか。俺は卒業して今の会社に入った経緯とかどんな仕事だとか。音沙汰なかった旧友と思いがけず再会した男として、普通の。
 普通とちょっと違うのは、どんな女の子と付き合ってきたかの話に、男の話が混じるくらいで。

 エースも俺も、そういう嗜好の持ち主だった。出会った時、エースはそれを自覚した後で、俺は自覚する前だった。俺はエースによって自覚した。再会した今も、俺たちはそういう嗜好の持ち主のままだと判明した。おいそれと変わるようなもんじゃないしな。きっと一生変わらない。

 それまでの気軽な会話が一段落して、少し緊張しながら切り出した。
 二人の、事。別れた時の。避けていては多分、良くない事になるだろう、核心。逃げていたって、一つも良い事はないだろうから。

「一緒には行けなかったし、来て欲しくなかったし、待てなかったし、待ってて欲しくなかった、んだよな」
 エースは相変わらず優しく気軽に答えた。
「うん。大好きだったけど、若かったから。無理だったよ。覚悟も出来てなかったし。お互い様、だろ?」
 全く、お互い様だ。
 ほぅ、と零れる溜息は、きっと安堵のそれ。
 恋人になる前みたいに喋って、結構辛かったのは全部忘れて、また、ただの友人になれそうな気がする。

「こうして穏やかに話せるのはさ」
 エースの事はとても好きだと思うけど、あの頃の気持ちとは違う。
「大人になったからかな」
 エースが意味有り気に笑う。うん、そんな顔されたって、ときめいたりしない。
「サンジが今、幸せな恋してるからだろ」
「え、そんなの分かるの」
「お、ビンゴ?」
「うわ、カマかけられた!」
 大丈夫だ、笑える。ただの友人で、居られる。


「うちの会社のロロノア、今日俺と給湯室にいた奴」
「うん?」
 心臓が少し跳ねた。それをエースに気付かれるのは、嫌だなと思う。
「親しいの?」
「そいつが、何か言った?」
 エースの目が、少し、優しさを削いだ。
「サンジとどんな知り合いかって訊くからさぁ、知りたいか?って訊いたら、別に、って」
 凄ェ、答えに困る。

「ロロノアさんは裏の会社の金髪さんに夢中、って女の子達の噂よ?」
 急にエースの声が軽くなった。
「へ?」
「裏の会社の金髪ったらサンジの事だってのは認めたけど」
 エースが悪そうに笑った。ああ、こんな表情だって好きだったのにな。
「そんなんじゃない、ってさ」
 じゃあ、どんなの?
 詰め寄りたい気持ちと、そりゃそう答えるしかないよな、という気持ちと。

 ゾロは、どんな気持ちで言ったんだろう。どんな気持ちで、俺たち——俺を見るエースと、エースを見る俺を、見たんだろう。
 
5 


20131114,1119,1120,1121,1123

*『嗜好』にするか『指向』にするかは迷いました。迷った結果、サンジにとっては『嗜好』だと判断しました。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
mail
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[502] [501] [507] [500] [499] [498] [506] [505] [497] [496] [495]
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
アーカイブ
ブログ内検索
最新記事
最新コメント
[04/16 koma@ツツジの花]
[02/23 タカス]
[04/18 koma]
[12/22 koma]
[12/12 ゆう]
プロフィール
HN:
utae
性別:
女性
手書きブログ
忍者カウンター
忍者アナライズ
バーコード
P R
忍者ブログ / [PR]
/ テンプレート提供 Z.Zone