『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*現代パラレル
*高校生
『蚊』 9月8日付 9月9日付
『今にして思えば』 1月9日付 1月10日付
『ヤドリギ』 1月17日付 1月18日付
『ファーストフード』1月24日付 1月25日付
『せんぱいこうはい』
*高校生
『蚊』 9月8日付 9月9日付
『今にして思えば』 1月9日付 1月10日付
『ヤドリギ』 1月17日付 1月18日付
『ファーストフード』1月24日付 1月25日付
『せんぱいこうはい』
*****
三年生の先輩は、秋に部活を引退して、三学期には学校にも殆ど登校しない。
なのに。
女子剣道部主将だったくいな先輩は、引退後も三学期になってからも、ちょくちょく武道場に顔を出した。
早々に推薦での大学進学を剣道の実績で勝ち取ったくいな先輩は、べらぼうに強かった。男子剣道部で瞬く間に向かう所敵無しになったゾロですら、勝率は五分。あの細腕でしなやかに、ゾロの豪腕から繰り出される竹刀を躱す。
頭も良くて、面倒見も良くて、優しくて。誰からも信頼される、ちょっと非の打ち所がない。とても美しい先輩だった。
今日も、ゾロはくいな先輩と手合わせしている。
俺はちょっと悔しかった。
二人にしか醸し出せない雰囲気を、感じてしまうから。同じ所を見る二人にしか、分かり合えない、何か。
帰る道すがら、ゾロが言い出しにくそうに、切り出した。
「お前、ひょっとして…くいなの事好きなのか?」
くいな、って。
「お前、先輩の事、呼び捨てにすんのかよ」
「あー、くいなは、幼馴染だし。同じ道場に通ってて。ちっこい頃からくいなって呼んでるのによ、同じ高校に入ったからって今更“くいな先輩”なんて呼べねえよ」
そうなのか。
だから、あんなに。良い雰囲気で。で、他の男に見られたらヤキモチやいたりするんだ?
「で?どうなんだよ」
黙った俺に、ゾロは再度訊いた。
「そりゃ好きだよ。綺麗で強くて優しくて。くいな先輩の事嫌いな奴なんて居るのかよ」
ゾロは、むー、と下唇を突き出した。
「で?何でそんな事訊くんだ?」
「お前、最近良く練習見に来るから。くいなの事見てるみてえだし。もしかしてって思ってよ」
お前を見に行ってるとは、思わない訳ね。思われたって困るけどさ。
「くいな先輩とお前の手合わせは、すっごく綺麗だと思うよ。見てて飽きない」
ゾロの下唇が解けて、頬が弛んだ。
褒めた、ってちゃんと伝わった。そんで、それを喜んでる。
それはとても嬉しいから、今、ちゃんと訊いておこう。
「お前、くいな先輩と、付き合ってんの?」
「付き合うって、」
ゾロが俺を真剣な顔で見た。
「恋人とか、そういう事か?」
俺は首肯く。
「付き合ってねえよ」
ゾロの声はぶっきらぼうだ。
「お前の片思い?」
「何でそうなる」
「好きじゃねえの?」
「そんな目で見たことはねえ」
恐る恐る見たゾロの目は、怒っていた。
「何でそんな風に思うんだよ」
「や、良い雰囲気だから…」
「誰でもてめえみたいに、何でも恋愛に結びつけると思うな。俺とくいなは、そんなんじゃねえ」
最初に言い出したのはゾロのくせに、ゾロの目は怒っていたし、真剣だった。
何か、悪い事を言ったみたいだ。何か。
気圧されて、本心が口を衝く。
「ごめん。ちょっと、…嫉妬した」
「…嫉妬?」
「入り込めねえなって。お前の一番は、俺じゃねえ、ってさ」
ゾロの顔から怒りが消えた。
俺はひょっとして、とても恥ずかしい告白をしてしまったのかも知れない。つまり俺はゾロの一番になりたいと思ってるって事を、ゾロに言ってしまった。
その後は、何も喋れなかった。分かれ道まで、二人、黙々と歩いた。
「そんな事ねえよ。…じゃあな」
いつも片手を上げて別れるそこで、ゾロは俺に顔を背けたまま、ぼそりと言って駆けて行った。
そんな事ねえよ。
俺はその言葉の意味をどう解釈しようか考えながら、ゾロの後ろ姿が見えなくなるまで見送った。
ゾロの一番は俺だ、って解釈しか出来なくて、困った。
浮かれちまうよ。
20130127,0212,0220,0223
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