人の気も知らないで 5 2013/01/17__00:00

＊現代パラレル
＊高校生

『蚊』　9月8日付　9月9日付
『今にして思えば』　1月9日付　1月10日付

『ヤドリギ』
（季節外れも甚だしいのですが）（その上とても短い）

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「クリスマスにヤドリギの下に居る子にはキスして良いんだってさー。羨ましい習慣だよなー。きっとスケベが考えたんだぜ？」
　などとぶつぶつ言ってイヒヒと笑うサンジが何を考えているのかなど、丸わかりだ。
　ちょっと可愛い女がヤドリギなるものの下に立っているのを見つけて、ちょっとキザにこの蘊蓄を垂れてキスなどする夢でも見ているんだろう。恥ずかしい奴だ。

「あー、お前みたいな、な」
　俺はおざなりに答えながら、ヤドリギってのは何かと考える。
　後で必ず調べよう。ヤドリギ、ヤドリギ。それがどこにあるのかも、必ず調べよう。そしてクリスマスには、必ずその下にサンジを引っ張り込もう。それから、そこがヤドリギの下である事を高らかに宣言する。
　サンジがその時、どんな顔をするのか、非常に楽しみだ。

「ヤドリギ、な」
「…おう。ヤドリギ、だ」
　にやりと笑った俺の顔も、スケベに見えただろうか。
　ヤドリギ、ヤドリギ。
　俺は、忘れない様に口中で呟き続けた。

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20130111

高校一年生の、晩秋の話。