『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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水曜になった頃。改札の向こうに待ち人が現れた。金色の髪を揺らしながら、スーツケースを押している。視線は足元の少し先。
早く、顔を上げろ。そして、こっちを見ろ。俺は、ここに居る。
まるでテレパシーが通じたみたいに、サンジが顔を上げてこっちを見た。途端、サンジの目が大きく見開かれた。口も徐々に開いている。信じられない、みたいな顔。
少し小走りに、サンジが改札を抜けて来た。
「お前、どうしたの?」
「待ってるって、言ったろ」
「そうだけど」
「早く会いたいって、言ったろ」
「俺もそうだけど、だけど、今ここで待ってるとは思わなかった」
サンジがゆるゆると笑顔になった。
俺の頬も弛む。
「何でここ通るって分かったんだよ?」
愛の力じゃねえかな。
うっかりそんな事を思う。思っただけで、口には出さない。恥死というものがあるとしたら、そうなるに違いないから。
「…勘だ」
「なんだ、愛の力かと思った」
ほんとにテレパシーか?
「そ、それでも…良い」
ぼそりと言った俺に、サンジは豪快に笑ってみせた。
ああもうこいつは!
俺が今直ぐ触れて抱き締めてしまいたいのをどれだけ我慢してるか分かってるんだろうか。いくら深夜で人通りが少ないとは言え、往来でしちゃいけない事くらいは心得ている。
そして。
人目が無ければして良いものかどうか、考えあぐねている。
「旅行に来たみたいだな」
足元のスーツケースを指して言う。
「住むとこは、社宅みたいなもんだからさ、荷物はもう送ってあるんだ。大したもん無いし。このスーツケースで、引越しは終了。明日は、もう今日か、定休日だからさ、荷物解いて住める様にして、木曜から普通に生活出来る様に」
「家、どこだ?」
「店の近く。徒歩五分ってとこかな」
サンジはスーツケースを押して歩き出した。俺もそれに続く。
「お前、今日は?」
「うん?」
「まだ帰らなくて良いなら、来る?」
「良いのか?」
「こんな夜中に出迎えてくれたんだ、お茶くらいなら、出せると思うぜ?」
お茶くらい。
「行く」
「うん」
人目が無ければして良いものだろうか。
辿り着くまでの15分、それだけを考えていた。
20130216,0219
*岡山駅について全く知らずに書いてます。おかしな所があったら申し訳ない。
見逃せない程の誤謬がありましたら、ご教示頂けますと助かります。
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