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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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9月8日付『人の気も知らないで』 9月9日付『2』の二人

*現代パラレル
*高校生

『今にして思えば』

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 何時からだ、と問われれば、恐らく、初めて見たその時だったろう。

 入学式当日。かろうじて花が残る桜並木の下に、跳ぶ金髪を見た。周りの様子から、一対多の乱闘であると知れた。演舞の様な動きの金髪は、その一の方であり、多勢に全く引けを取っていなかった。

 目を奪われた。

 多勢のうちの一人が金髪に蹴りだされ、俺に当たったのが悪かった。良い口実を得た俺は、嬉々として参戦した。

 一対多であっても一の優位であったそれは、二対多になった途端終息を見た。
 金髪と俺以外が地に伏した所で、騒ぎを聞きつけたらしい教師が校門から飛び出てきた。走れた俺たち二人は反射的に逃げた。逃げたけれども直ぐに捕まった。校門までまっすぐな一直線である桜並木には、脇に逸れる道も隠れる場所も無かったのだ。俺はガタイの良い男に(それは後に担任のスモーカーであると知れた)、金髪は女に(それは後に剣道部顧問のたしぎであると知れた。ちなみに金髪はたしぎが両手を広げて通せんぼをしただけで足を止めたらしい)捕縛され、そして仲良く指導室行きだ。クラス発表を見るよりも、教室に入るよりも先に。侠気に溢れるらしいスモーカーは「ほどほどにしろよ」とだけ言って俺たちを放免した。地に伏した多勢は札付きの上級生だったらしい。

「何で乱闘してたんだよ?」
 入学式の行われる体育館へ向かう道すがら、俺は訊いた。
「知らねぇよ。突然絡まれたんだ。売られた喧嘩は買うだろ?」
 そう言った顔は悪戯めいていて、随分子供っぽかった。
「お前は何で加勢したんだよ?」
 折角の真新しい制服なのに、早速付いた埃を叩きながら金髪が訊いた。
「ぶつかってきたからな。別に加勢した訳じゃねぇよ」
「ふーん」
 気の無いように答えられて、ちょっとつまらない気がした。

「お前、腕に覚えアリか?」
「まあな。腕っつーより、脚だけどな」
 確かに。俺の目を先ず奪ったのはきらめく金髪だったが、それはしなやかに舞う脚あってこそだった。
「お前も、なかなか強いじゃん?」
「まあな。専門は剣だけどな」
「へえ」
 やっぱり気の無いように答えられて、やっぱり、ちょっとつまらない気がした。

「お前、よく見たら変な眉毛してんな」
「はぁ?!」
 よく考えたら失礼な事を唐突に言った俺に、金髪は素っ頓狂な声を上げ、顔を真っ赤にして蹴り付けてきた。それが怒りによるものか羞恥によるものかは、出会ったばかりの俺には分からなかった。
 そんな金髪を爽快に思って、俺は笑い、避けて逃げた。
 金髪は毒気を抜かれたみたいに、笑った。
 その笑顔に、とどめを刺されたのだ、多分。

 その時は、そんな事とは露程も思わなかった。
 今にして思えば、最初から。最初から、惹かれていた。



20120910-,20130102
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