人の気も知らないで 6 2013/01/18__00:00

＊現代パラレル
＊高校生

『蚊』　9月8日付　9月9日付
『今にして思えば』　1月9日付　1月10日付

『ヤドリギ』　1月17日付
（季節外れも甚だしいのですが）（その上とても短い）

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「ヤドリギ、な」
「…おう。ヤドリギ、だ」
　ゾロが不敵に笑った。まさか食いつくとは思わなかった。ひょっとして、こいつも女の子にキスしたいとか思うのかな。

　クリスマスリースについて調べていて、リンクを辿った先にあった豆知識を披露したのは、他意あっての事ではない。単純な、話題の提供。
　ヤドリギなんて、どこにあるのかすら知らないし。
　よしんば知っていたとして、そこに女の子が居たとして、本当に見ず知らずの女の子にキスして良いなんて思ってないし。いくらなんでも。
　そう。俺の仕入れた知識は「クリスマスにヤドリギの下に居る女の子にはキスして良い」。けれどゾロには「女の」を省いて伝えた。
　無意識かわざとか、と言ったら、まあ、わざとだ。

　だからと言って、別に、ゾロがクリスマスの日にヤドリギの下に俺を誘い込んだりする訳ない事くらい、分かってる。こいつはヤドリギが何かも知らないに違いないし。俺がクリスマスにヤドリギの下にゾロを誘い込んでキスする、なんて展開も、ない。驚くゾロに「言ったろ？」なんて言ったりとか。ないから。
　だから、この後俺がヤドリギのある場所を調べたりする事なんて、ない。ないから。

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20130111

高校一年生の、晩秋の話。