『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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俺は戻ってきたぜ、そろそろほとぼりも冷めただろう。これ以上休むと単位がやばいし。
おお、あれに見えるは我が学友サンジ君じゃないか——ど、ど、どうして髪が逆立って燃え立つ様なのかね、サンジ君。
俺は逃げた。脱兎の如く逃げた。そして——捕まった。逃げ足の速さは人後に落ちないこの俺様を捕まえるとは、流石だサンジ君!
「てめえ、何が美人だよ?」
え、そこ?
「び、美人だろ? 切れ長の二重瞼で、鼻筋通ってて、」
「男に美人たぁ、言わねえんだよ」
「ああ、そうか、俺様の審美眼は公平だからな、お前も、黙ってりゃ美人だぜ?」
ぐへっ
腹に膝が入った。サンジの蹴りは強烈だ。流石、俺の逃げ足に追い付ける脚力。
俺はその場にくずおれた。
俺が気を失っていたのが一瞬なのか数分なのかは分からない。まあ数時間って事は無いだろう。
目を開けた俺の前では、サンジがごく普通に煙草を吸っていた。俺はごくごく普通に対応する事にした。
「じゃあ、断ったんだな?」
ロロノア邸とグランドライン学園の周辺には近付かない事にしよう。あの少年に見つかると厄介だ。
しかしサンジから放たれた返答は、俺の予想を超えていた。
「いや?受けたよ。俺はあの『美人』なクソガキの先生になってやる事にした。何故って?知りたいか?教えてやろう。何故ならそれは…」
俺に一言も口を挟ませないまま、サンジは酷く悪い顔で笑って言った。
「お母様が極上の美人だからだ」
ああ、そう。
じゃあ、俺の腹に膝頭をめり込ませる事は無かったんじゃないかな?
「人妻だろ?」
一応モラルを説いてみる。しかしサンジは、高らかに謳い上げた。
「恋に禁忌はつきものさ!若人よ、何を恐れる!障害が高ければ高い程、堅固なら堅固な程、恋は燃え上がるのだよ!」
ああ分かってたさ。お前はそういう奴だよサンジ。
「サンジ君はさあ、文学部かなにかに所属した方が良かったんじゃねえの?」
「んな食えない学問なんかしてられるか」
ああ、そう。
その能天気さで経営なんて志してモノになるもんかね?
どうでもいいけど。そして決して口には出さないけど。だって俺まだ死にたくねえし。
やっぱりロロノア邸とグランドライン学園の周辺には近付かない事にしよう。危険な匂いがぷんぷんする。
しかし、天は我に味方しないのだ。どうして。俺、真っ当に生きてるのに。
母親狙いで通われちゃあ切なかろうなあの少年も。
と仏心を出したのが悪かったのか。あの少年と、遭遇してしまった。
少年は俺を見ると、ぱ、と顔を輝かせた。え、何で輝くの? そして、一直線に俺の元に走って来た。
速い。
そして捕まった。逃げる間もありゃしない。
「お前仕事早いな!」
息を弾ませて、少年が言う。イヤ、君の神速には敵いませんよ?
「あいつに、先生になってもらった!ありがとな!」
なかなか素直ないい子じゃないか。
「で?」
で?って、何?
前回とは打って変わって少年らしさを湛えた瞳で、少年が訊く。
「どうしたら良い?」
だから俺に訊くなって。
「…真面目にお勉強したら良いんじゃないでしょうか?」
「そうだな。そっから好感度上げなきゃな!」
うん、やっぱ好感度を上げたいんだね。
少年は「じゃ、またな!」と言って、走って消えた。サンジと繋がりが出来た事が嬉しくて仕方ないみたいな風情だ。
可哀相に。相手がサンジじゃ、成就は望めない。未来ある若者が、ちょっと不憫。そして、あの好意をまっすぐに向けられるであろうサンジにも、ちょっと同情。
まあ俺は俺の為に、またの機会が訪れない事を、真剣に望むだけだけど。
20121228,20130216
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