『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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「じゃあな、ウソップ」
「…おー」
ウソップが逸らしたくとも逸らせない視線に脂汗を流している間に、サンジは行ってしまった。
もっと人通りの多い所までか、もっとずっと遠くまで、一緒に居るべきだったとウソップが思った時には遅かった。
そのギラギラした目の持ち主は、一直線にウソップの元に歩を進め、あっという間に目の前までやって来てしまった。
「あれは誰だ」
間もなく声変わりも終わろうかという掠れ気味の声が、問うた。
ああ、グランドライン学園中等部、二年生か。
現実逃避を始めた頭で目に入った徽章からぼんやりと推察したウソップが答えずにいると、がっしりとした大きな手がウソップの襟首を掴んだ。
身長は然程変わらない、寧ろ自分の方が大きいのに何この威圧感。
「名前はサンジ。青海大学経営学部二年、19歳、彼女無し」
ウソップは友人を売った。
「…彼氏は」
「無し…」
「よし。ちょっとこっち来い」
答えたのに…。
路地裏に引きずり込まれながらウソップは、嘆いた。嘆く事しか出来なかった。
まるで恐喝被害者の気分だったウソップだったが、まるで恐喝加害者の様な中学生男子は大して乱暴ではなかった。
路地裏に引きずり込まれると、肩に腕を回され、がっちりホールドされた。逃げ出せない様に。ちなみに”大して”乱暴ではないと表現したのはこの辺りに由来する。そもそも路地裏に引きずり込む事からして乱暴なのである。いきなり殴られたりはしない程度で“大した乱暴ではない”評価になるのだから世の中やったもん勝ちだ。嗚呼理不尽也。
「親しいのか?」
「ええと、…サンジと、俺?」
「他に誰の事訊かれると思うんだ?」
「ハイソウデスネ…。親しいデス」
「あいつと親しくなりたい」
「…ソウデショウネ」
「どうしたら良い?」
俺に訊くのかよ。
ウソップは思った。思ったがしかし口にはしなかった。出来る訳が無い。自慢じゃないが、暴力沙汰とは無縁の人生を送ってきたのだ。こんな直情径行なガキに口答えする程馬鹿じゃない。
「家庭教師に雇ってみたりするのは如何でしょう?」
中学生と大学生の接点なんて、それくらいが関の山だろう。
少し考える様な素振りを見せた中学生が鞄を漁り、ノートに何か書き付け、ちぎって寄越した。
そこには、彼の苗字らしき『ロロノア』の文字と住所が記されていた。
「頼んだ」
ロロノア君は、それまでの凶悪さを微塵も感じさせない一礼をウソップに施し、去ったのだった。
ウソップは受け取った紙片の『ロロノア』のお尻に『邸』を付け足し、簡単な地図も付記して翌日、サンジに家庭教師のバイトを斡旋した次第。
20130129-0131
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