『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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サニーの甲板には、芝が敷かれている。昼日中、そのど真ん中で大の字に寝転んで微睡むのは、なかなかの開放感だ。遠くでクルーが楽しげに騒いでいる声も、良いアクセントになる。
俺が密かにそれを楽しんでいると、コックが通りかかり「お、光合成か」などと揶揄してくる。「干からびんなよ」などと言いながら、煙草の煙を棚引かせて持ち場に戻って行く。普段ならば。
ささやかな風が、頰と芝を撫でている。閉じた瞼でも感じていた陽光が遮られた。嗅ぎ慣れた煙草の匂いが立ち止まっている。誰がそこに居るのか、分かっているのに確かめてやるのも馬鹿馬鹿しい。深く呼吸して眠りを待った。と、気配がしゃがむ。匂いは一段と濃ゆくなる。ふう、と一際強く煙が吐き出され、火は躪られた。
尻が芝に付き、足が投げ出され、背も芝に付く。最後に、投げ出された腕がゆっくりと着地する気配。
「あー…」
深く、感じ入って出た声が、小さく放られる。唐突に、どんな顔をしているのか見たくなった。
目を開けて顔を向ければ、後頭から側頭が芝を擦って音と匂いを立てた。
果たして、コックは大の字で目を閉じていた。穏やかな顔をしていた。
「背中はあったけェし、お日さんもあったけェけど、風が丁度良く熱を払ってくれるな」
こりゃ良いや、などと言いながら、ゆっくり目を開けて、顔をこちらに向けた。やはり音と匂いが立つ。長い前髪が、さらりと落ちた。久しく見ていなかった右目が覗く。左右でほんの少し色味の違う瞳が、いっぺんに俺を射る。
「誕生日だってな」
あくまでも穏やかだ。
「そうだな」
同じ穏やかさで応える。
「何かリクエストは?」
「そうだな」
食い物なら、何を言っても問題ないだろう。間違いなく美味いものが供される。何も言わなくとも。だったら。
「しばらく、このまま」
僅かに瞠られ、色の違いがはっきりとした。
「そんなんで良いのか?」
すぐさま挑発的に細められる。瞳を照らす陽光の量が絞られ、代わりに、少し潤んだようだった。
「夜、もっと近くで見せろ、ってのは、どうだ」
とうとう目を閉じて、また天を仰ぎやがった。
「お望みとあらば」
満足気な表情をしているからよくよく見るのは、夜まで我慢してやろう。月明かりでも、色は違って見えるのか。
夜気に冷えた芝もきっとすぐに温まるだろう。
投げ出された手の先端、小指に小指を重ねた。
20201111
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