書き出しと終わり #5 2020/11/01__00:00

utaeさんには「明日はどこに行こうか」で始まり、「そんな怖い顔しないでよ」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば5ツイート(700字)以内でお願いします。#書き出しと終わり #shindanmaker https://shindanmaker.com/801664

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「明日はどこに行こうか」
　お前は半分とろけたみたいな顔で言う。俺に対して、だ。冗談じゃない。お前、そんなんじゃなかったろう？　俺に対してはいつも、挑発的で、好戦的で、とにかく、そんな顔は女専門で、罷り間違っても俺にだけは向けなかった。それが、どうしたんだ。

「記憶が混濁してるみたいだ」
　診察を終えたチョッパーが言った。
「他に悪いところは見当たらないよ、心配しなくて良い。ただ少し、ゾロに関しての記憶が、少しだけ」
　最後は言葉を濁した。
「俺のことだけ、忘れてんのか」
「いや、そうじゃない。覚えてるけど、なんて言ったら良いかな、今までとは違う風に見えてる…のかな」
「あ？」
「んー、短所も見方を変えれば長所になるだろ？」
「うん？」
「例えばさ、臆病は裏を返せば慎重ってのとか」
「ああ…で、それがコックがおかしいのと、どう関係あるんだ」
「今まで嫌だったところが好ましく見えてるんじゃないかな」
　じゃあ、こんなにも好意丸出しってことは、どれだけ嫌悪されてたんだ。
「これを機に、仲良くすると良いと思うぞおれは」
　チョッパーは我ながら良いことを言った、みたいな顔をして出て行った。入れ替わりにコックが入って来る。俺の姿を認めた途端、頰を緩めた。

「考えてくれた？」
「何を」
「明日の、デート」
「デート？」
「せっかくの島なんだし、二人で出掛けようって」
　記憶の混濁でもない限り、コックは俺とデートしようなどとは思わない。わかってる、俺だってそうだ。そう思うのに。

「お前が元に戻る場所」
　声は小さく掠れた。
「…好かれちゃ困るか」
　コックは半分とろけたみたいな顔でうっすら笑い、器用にも、瞳に悲しみの色を乗せて言った。
「そんな怖い顔しないでよ」

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20200919

＊1ツイートをキリのいいところで終えて5ツイート、しめてきっちり700字、にしたんだけど、一箇所変換ミスしてて1文字足りなくなってた。残念。どうせ改行するし、調整して改稿しようかなーと思ってたんだけど、何をどう変えたらいいか分からなくなったので、変換し直して改行しただけになりました。あ、三点リーダを一箇所入れたわ。20201031