『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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結局、終電に乗ったのと変わらない時間の帰宅となった。
布団に潜り込んでも、この床の下で変質者が息を潜めているかと思うと、眠気など訪れない。
手慰みに腹巻を伸び縮みさせる。みょーん、みょーん。
あいつは、腹にして、胸にして、首にして、頭にして、腰にしてた。
みょーん、みょーん。
俺だったら——。
—— 朝 ——
早朝。音をさせない様に階段を下り、五号室の前に立つ。
新しい住人が物音を立てるのは、この時間まで。男が今朝もいつもと同じ生活パターンをなぞるなら、まもなくこのドアは開く。
その瞬間を、息を詰めて待った。
玄関先で、物音がする。がさごそとコートを羽織り、靴を履きこんこんとつま先を打ち鳴らす音。がちゃ、とドアノブが回される音。
俺は間違っちゃいないだろうか。変質者と対峙する、という緊張感とは違う、緊張に掌が冷たく汗を掻く。
ドアが開く。見慣れたスプリングコートに、膝下は、肌色、じゃ、ない。極普通のスーツを着た脚が、す、とドアから出て、止まった。
銀縁の眼鏡を掛けたその奥の目が、丸く見開かれる。
「お前…」
ああ、普段は眼鏡なんて掛けてんだな。あの目つきの悪さは視力の悪さに起因したか。
「おはよう、露出狂。今から出勤か?」
「ろ、しゅつきょ、う…?」
「往来で人様に裸見せつけたいのは、露出狂だろ?」
「あ、や、まあ、…うん」
男はドアノブに手を掛けて体を半分ドアから覗かせた状態のまま、口を濁し、視線を泳がせた。
露出狂ってのは認める訳だ。その上で、あんまりイイご趣味じゃないって自覚も、ある。
男は恐る恐るといった態度で、声を出した。
「何、してん、だ、よ」
「腹巻拾ったから…」
男は先程までの愚鈍さを返上して、き、と俺を睨んで手を差し出した。返せって?そうはいくか。
「…新しい腹巻装着位置の、ご提案?」
俺はそう言って、羽織っていたコートの前を、開いた。
男の目は今度こそ、限界まで大きなまん丸になった。
俺の格好を見て。
だって俺、今、酷い格好をしている。
腹巻に片足を突っ込み、両脚の間に輪を持って来たところで、みょーん、と、伸ばした先を左肩に乗せる。
幾ら伸びると言っても、大変窮屈だから、やや前屈み。
勿論、腹巻の下は、裸、だ。
左肩から左胸、臍、局部、左尻から左肩にかけての背中だけが、腹巻の下に隠れている。男の目が、丸見えの右胸やら右腰、脛毛だらけの脚を舐める様に動く。
俺はなんでこんな事をしているんだろう。よく考えたら、変態の前に裸体を晒すなんて、貞操の危機なんじゃ?いや、貞操って何だ。こいつは露出したい変態なんだから、俺の露出には興味無いだろ。無い筈だよな?
舐め回す視線に居心地悪くなりながら、昨夜の思考を辿る。
なんかもう、どうでも良くなったのだ、みょーんと伸びる腹巻を見ていたら。
みょん!と一気に伸ばしてみたら、思いの外伸びたのだ。男の胸囲が限界だと思っていたが、それ以上に。どこまで伸びるか試したくなって、片足で踏んづけて引っ張ったら腰の辺りまで伸びた。そしたら踵が滑って、片足を突っ込む形になった。押さえを失った伸縮性抜群の腹巻は、当然俺の股間にヒット。痛ェ。やけくそでみょーんと伸ばしたら、肩のところまで来たので、頭をくぐらせた。頭の天辺で腹巻から手を離してみたら、頭がぎゅうと下方に押し付けられて首が苦しかったので、腹巻を体の中心から少しずらした。肩を押さえ付けられて窮屈だが、装着出来ない事も無い。
すげーアホな姿だ。
これで裸だったら、これ以上無いアホな姿だ。
それであいつの前に立ったら、あいつが俺に裸腹巻姿を見せつけた理由が、分かるだろうか。
そう思ったら、不思議な高揚感に包まれた。
そして俺は今、朝日の中で、コート一枚羽織った下に、裸で腹巻をおかしな具合に装着し、男にそれを晒している。
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20140514,0520
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