『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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厭な残像と共に出勤し、厭な残像と共に帰宅する。
—— 第三夜 ——
今日も、居るんだろうか。
時刻は今日も同じ。終電を降りて、人気の途絶えた道をゆっくり歩いて。
角を曲がる寸前、足が止まる。帰宅を再開させる一歩が、重い。
でもまぁ何してくる訳でも無ェし。
奮い立たせる様にわざと軽快なステップを踏む。わざと奮い立たせなきゃならない事が、ステップの軽快さを裏切って憂鬱を生む。全く、理不尽だ。
角を曲がると、…居た。
暇な奴。寂しくて、可哀相な奴。…どんなに蔑んでみても、俺が奴に衝撃を与えられたという事実は曲がらない。全く、理不尽。
今日もご自慢の息子さんを見せつけてくれるって?ところでお前どの段階でそんな状態になってるの?服脱いだ時?コート着た時?ここ迄来る途中で萎えたりしねェ?それともここで、俺を待ってる間に勃たせるの?想像だけで?それとも必死に扱いてんの?
憂鬱を掻き消す為に喋ってしまいたい気はするけれど、みすみす自分から関わっていくヘマはしない。君子危うきに近寄らず。男の存在を目の端で認め、頭の中に湧き上がった疑問の中に、何かが引っ掛かる。
俺の事を待ってんのか?
今日で三日目だ。この時間になればここを通るのは俺ぐらいなものだとそろそろ思い知っても良い。それに気付かず今日の獲物もまたこいつか、とか思ってんなら、正真正銘の馬鹿だ。やってる変態行為の馬鹿馬鹿しさを差し引いたって。
ゆっくりと近付く。男は前を開く。今日も腹巻着用だろうか、腹が冷えるんならこんなとこで裸になんかならなきゃ良いんだ、と至極真っ当なアドバイスを頭の中でだけして、真っ当だったらそもそもこんな事しねェなと思う。自然と目の行った男の腹部に腹巻は無く、しかし十二分なエレクトは健在。またどや顔なのか、それとも心許無く瞳を揺らしているのか、と視線を上げると、…腹巻が。
まるでチューブトップの様に、立派な大胸筋を覆い隠していた。
なんで。
腹巻だったと思ったのは俺の勘違いで、チューブトップだったのだろうか。いやいやチューブトップってのは麗しいお姉さんの豊満なおっぱいを更に魅力的に見せる為のものであって。うっかり何らかの拍子にびよんと伸びたりずり下がったりして、いやん♡、なラッキースケベを演出する素晴らしき小道具であったり。
間違ってもむさ苦しい男の固そうな筋肉を覆うものではない。貴様チューブトップに謝れ。地に伏し何だったら腹かっ捌いて詫びろ。はっ、その袈裟懸けの傷はそういう事?
その袈裟懸けの傷。
昨夜俺に鮮烈な印象を与えたそれは、今日は間違った場所で限界迄伸びている腹巻の下。
どうせなら、今日も立派に天を向き先端を濡らしているソレよりも、あの傷を見たかった。
伸縮性抜群の腹巻を凝視して、止む無くも眉間に皺の寄った顔で男の顔を見ると、どや顔とも心許無くとも言えない様な言えなくもない様な、何か俺にお伺いを立てる様な表情をしていた。俺はこんな感じで良いと思うんだけど、お前はどう思う?みたいな。
何?俺に何か言って欲しいの?
「傷、隠すの」
本来なら、全否定するべきだ、腹巻の位置は言わずもがな、外で裸になって他人に裸体を見せつけてはいけませんよ、と。もっと言うなら、関わっちゃ駄目だ。
なのに俺の口から出たのは、そんな、拗ねた様な。しかも、掠れた小さな声で。
男は今日も瞠目して、コートの前を掻き合わせると、回れ右をせず俺に向かって走り出した。
マズイ、と咄嗟に道の端に避けたが、男は俺に襲いかかる事無く、風の様に走り去った。俺の曲がって来た角の、一つ向こうを左折して。
あいつどこに行くんだろう。誰にも見つかんなきゃ良い…じゃまるであいつを心配してるみたいだな、そうじゃない。
あんな変態を目撃して厭な気分になるのは俺一人で充分、だ。
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20140429,0430
*腹巻の装着位置が日々移動する、のもミッションの内。
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