『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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3月7日付『恋はしていない』続き
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ウソップの日常は、事なかれ主義だ。君子危うきに近寄らず。
だから、ゾロとサンジが二人きりで深夜に籠もって居る格納庫から悩まし気な声や息遣いが聞こえて来ようとも、それは心霊現象か気のせいであると思い込むに吝かではない。
けれど、看過出来る状態を超えている。
ゾロがサンジをこっそりと見て、溜息を吐いているなど。
「お前さあ、その、言い辛いんだけどさ…」
仕込みの合間に甲板で煙草を吸っていたサンジに、ウソップが近寄り切り出した。
「その、ゾロ、と、その…」
ウソップを一瞥したサンジは彼が言わんとした事を理解したが、言い辛そうなそれをこちらから言ってやる程、サンジは男に親切ではない。
「何だよ」
紫煙と共に吐き出された声は冷たく、ウソップを射竦めた。
「…恋人、なの?」
サンジはウソップをぎろりと睨む。
「んな訳あるか」
「でもよ、その、ね、寝てるだろ」
「あー、聞こえたか。悪ぃな、耳障りだったろ。今度からは気をつけるから」
認めるのか。サンジは、ゾロと寝てるって、認めるのか。今後も寝る、って。その上で、恋人じゃない、って。
ウソップにはいろいろと信じられない。
「恋人じゃねえのに、寝るの?」
「ん?変か?」
変だよ。そういうのは普通、恋する男女がするもんだ。
「そういうのって、不毛じゃねえ?」
「男同士なんて、はなから不毛だろ。大体、俺がマリモと恋してたら、そっちの方がオカシイだろ」
男同士である事には、目を瞑ろう。それは人それぞれだ。けれど、恋もしていないのに。
そしてきっと、俺の目に狂いが無いのなら——。
恋をしていないのは、サンジの方だけだ。
ゾロは、恋をしている。——サンジに。
しかしウソップは、言えなかった。サンジの瞳は、何の感情も映していない。嘘だとか強がりだとか照れだとか、ウソップが望む様なものは何も。
「訊きたい事がそれなら、話はもう終わりだ」
サンジは短くなった煙草を船外に放り捨て、ウソップを置き去りにしてキッチンへ戻った。
「お前も、難儀だな」
甲板で寝転ぶゾロに、ウソップは言った。
「不毛な恋に身をやつすとか、柄じゃねえだろ?」
「何だ、知ってんのか」
ゾロは全く躊躇せずに認めた。拍子抜けするくらい。
「せめて体だけでも、って事?」
「そんなんじゃねえけど」
ゾロは体を起こした。
「しょうがねえよ。惚れさせらんねえ俺が不甲斐ないだけだろ」
ゾロが随分素直な事に、ウソップは驚いた。睨まれたり、最悪抜刀されるかと思っていた。
そんくらい、弱ってんのかな。
きっと恋なんてもんは切り捨てて来た、剣の道に生きて来た男。
それが、きっと初めての恋に、苦悩している。
「駆け引きなんてした所で、太刀打ち出来る相手じゃねえよなあ?」
「太刀打ち出来た所で、そんなこたぁしたくねえ」
そうだろうよ。恋の駆け引きをするゾロなんて、恋に悩むゾロよりゾロらしくない。
「お前はコックに手ぇ出すなよ?」
ゾロがえらく真面目な顔で言った。
「俺はそんな悪趣味じゃねえ」
ゾロは、ぶはっ、と吹き出し、再び寝転んだ。
「確かに。悪趣味だよなあ」
悪趣味だって自覚があるのなら。
「まあ、頑張れよ」
「ぼちぼちな」
ウソップは、余計な手出しはすまい、と日常に戻る事にした。
20130224,0225,0307
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