『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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あの人が素敵だの、あの子が可愛いだの、あいつが格好良いだの、惚れた腫れただの。
所謂お年頃になって、ゾロの周囲も、話題はその類いが主流だ。
近頃彼氏が出来て恋に浮かれているらしいナミに水を向けられ、ゾロは仏頂面をした。
「ゾロは?無いの?そういうの」
「無い」
「何で?」
「興味無い」
「好きな人居ないの?」
「…居ない訳じゃない。でも、居ない」
「何それ」
ちっとも話に乗ってくる気配のないゾロに、ナミはそれ以上の関心を向けなかった。なにも話し相手はゾロだけじゃないのだ。一緒に浮かれてくれる相手は、他にいくらでも居る。ナミはちょっと肩を竦めただけで、どこかへ行ってしまった。
それは、ゾロにとって好都合だった。話したい事なんか、一つも無い。
人の事を好きだと思ったのは、一度きりだ。その子の事を想うだけで、心が温かくなる様な、心がひりひりする様な、そんな「好き」は。
幼稚園を卒園してから小学校に入学するまでの間、ゾロは曾祖母の家に滞在した。村全体が一つの家族みたいな、そんな田舎。ゾロ同様、その村のどこかの家の親戚だったその子も、そこに遊びに来ていた。
二週間、毎日一緒に遊んだ。二週間が、短かった。小学校が始まるから帰らなきゃならない。そんな事なら、小学校になんか行きたくなかった。田舎に行く前は、届いたランドセルを鏡の前で毎日背負って、早く小学生になりたいと思っていたのに。あれだけ楽しみにしていたのに。
色が白くて、金髪で、瞳は青くて、眉が変な風に巻いていた。
かわいいかわいい女の子。
名前は知らない。呼ばなかった。その子の爺さんが「チビナス」と呼んでいたのだけ覚えている。
春の陽気に誘われて顔を出した虫とか蛇とかを怖がって、自分の背中にひっついてきた温もりを、ゾロは忘れない。女の子はこうでなくちゃ、と思った。
虫とか蛇とかを追っ払ったゾロが「もう大丈夫」と振り返ると、ぱあっとお日様みたいに笑った。その笑顔を、ゾロは忘れられない。
次に遊びに行く予定だった夏休みを待たずに曾祖母は亡くなり、田舎に行く機会も無くなった。小さい子供だったゾロに、その子と会う手立ては無かった。
あれは、間違いなく初恋だった。そして、ゾロにとって今なお唯一の恋だ。
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20120820,20130111,0215,0221,0308,0312,0313
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