二年 2013/03/11__14:46

　二年前の今日。

　私自身は、直接的な被害は何もなかった。コップの一つも割れなかった。
　ただこわかっただけ。
　身近な人を失う事もなく、身近な人を失った人も身近に居ない。

　けれど、確実に何かを失った。それはきっと、何かを得たという事だ。
　失う事は必ずしもマイナスではなく、得る事は必ずしもプラスではない。

　命あるものは必ず死ぬし、それがいつか、どんな状況か、その時まで分からない。選べない。
　そんな事、それまでも知っていたけれど、それが、非常に確かな事であると目の前に突きつけられた。
　確かな事は、それだけ。
　永遠に続くものなんて無い。いつか地球も寿命を迎える。


　こわかったなどと、言うなんて。もっとこわかった人の事を思えば、言えない。
　けれど、人と比べても仕方ない。別の人にはなれない。
　私は、こわかった。
　それだけは、確かな事。
　今でもあの時の事をまざまざと思い出せる。
　今でも揺れれば身構える。
　今でもこわい。

　それでも、私は今も生きているし、暢気に妄想などして暮らしている。

　二年経ったって、考えはちっとも纏まらない。それでも生きて行く。死ぬまで生きる。

　二年後の今日、そんな事を考えている。