『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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砂場で一心不乱に山を作る孫に、ゼフは日傘を差し掛けて影を作ってやっていた。帽子を被せてはいるのだが、つばの広いそれは規格より小さな頭からすぐに浮き上がり飛んでしまう。ゴム紐で首に引っ掛かったそれがカバーするのは項だけで、それでは夏の午後の日差しから三歳児を守るには不十分だ。
ディナータイムの仕込みをスーシェフに任せて孫の外遊びに付き合っているゼフは、そろそろ店に戻りたかった。
「そろそろ帰らねェか」
「まーだー」
「何作ってんだ」
「ぷりんー」
「でっけェプリンだなァ」
「まりもとたべるー」
こちらを見もしないで答える孫は、隣室の坊主をまりもと呼んで甚く懐いている。多忙な父親と二人暮らしの坊主は中学一年生で、一度どうしても手が回らなくなってしまった時に孫の夕食の介添えを頼んで以来、父子二人分の夕食をバイト代として子守りを引き受けてくれている。
学校が終わったら店に来て、奥で遊んでやりつつ宿題をやり、夕食を食べつつ食べさせて、父親の分の夕食を持って家に連れ帰り、一緒に風呂に入り洗ってやって寝かしつける。髪を乾かし歯磨きの仕上げ、絵本の読み聞かせまでしてくれていると聞き、夕食だけでは割に合わないのではないかと問えば、「親父の飯は美味くねェし、俺が作るともっと不味いし、弁当も飽きたし。爺さんの飯は美味いから。それに、こいつ別に我儘言わねェし、俺も楽しいし、助かってるんで」と笑う。
終業後迎えに行くと、大抵孫と坊主は一つの布団でぐっすり眠っている。どうやら孫を寝かしつけていて、坊主も睡魔に襲われるらしい。酷い寝相で転がっている二人を笑顔で見遣って、坊主の父親が夕食のお礼と共に「起こすのは可哀相だから、このまま寝かせてやりましょう」と言うので、いつしかそのまま朝まで預かってもらう様になった。朝迎えに行けば「おれがおこしたのーふたりともねぼすけー」と孫は胸を張り、坊主と父親は恥ずかしそうに「助かります」と笑う。
孫がもう少し大きくなって、夕食の介添えが要らなくなるまでは、このまま甘えてしまっても良いかなとゼフは思っている。隣室の親子は、是非にでも、と言ってくれる。良い隣人に恵まれた。
「あ、まりも!」
孫が突然走り出した。公園の入口で、孫が坊主の脚に抱き付いている。不自由な足で走れないゼフはゆっくりと近付いて、二人に日傘を差し掛けた。そこに公園の目の前にある店からスーシェフが顔を出す。
「料理長、そろそろ良いですか?」
坊主がゼフから日傘を受け取り、孫は坊主の手を引っ張る。
「おやつはぷりんだよー」
「悪いな、晩飯はハンバーグだ」
坊主は嬉しそうに笑い、孫に日傘を差し掛ける。孫はきゃっきゃとはしゃいでいる。
孫に寂しい思いをさせている自覚のあるゼフにとって、坊主の存在はとても有り難かった。
20140731,0805
*やっと日傘が出てきました。
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