『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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駅から家まで、約15分。
ゾロは何かを考え込んでいる様に、いつにも増して無口だった。久し振りの再会な訳だから、喋りたい事も聞きたい事もたくさんあった筈なのに。夜の静けさと相まって、俺も無口になる。
結局、碌に口も利かないまま部屋に着いた。
リビングの隅に詰んである幾つかの段ボールから、キッチン用品の箱を引っ張り出して開ける。薬缶、急須、湯呑み、茶葉、布巾。それだけ抱えて、キッチンへ。薬缶を軽く濯ぐ。
「何か手伝う事あるか?」
所在な気にしていたゾロが段ボールを指差して言う。
「んー、もう遅いし、そうだな、座布団出してくれるか?でっかい箱のどれかに入ってる筈。何が入ってるかは書いてあるから」
ゾロが段ボールを移動させる音がする。
「あー、これか」
呟く声と、べりべりとガムテープを剥がす音。
薬缶に水を入れ、換気扇を回してコンロに火を付ける。急須と湯呑みを濯いでいると、ゾロが言った。
「出したぞ」
「ありがと」
シンクに向いたままで応えると、ゾロが近くまで来た気配がした。湯呑みを布巾で拭く。
「サンジ」
思い詰めた様な声で、ゾロは俺の名前を呼んだ。振り返るとゾロは思った通り、思い詰めた様な顔をしていた。その腕がおずおずと伸ばされ、俺の背中に回る。
その手が俺の背中に着いた途端、力強く抱き締められた。
顔が、近い。
その顔が、更に近付いて、頬が触れた。頬が緩慢に擦り付けられ、違う感触——唇、が、付いて、離れた。
「俺の『好き』は、こういう『好き』なんだけど」
離れた顔に視線を向けた。
思い詰めた、真摯な、ゾロの顔。
「それで、いいのか?」
全く、こいつは。
「俺も、そうだよ」
まだ湿った手で、ゾロの背中に触れ、ぎゅうと体を押し付ける。
ゾロは僅かに瞠目してから、少し、顔を歪ませる。泣きそうに。
「キス、しても、いいか?」
全く、こいつは。
「そんな事、いちいち訊くな」
ゾロの後頭部を掴んで、力任せに引き寄せる。ゾロの目が、大きく開かれ、閉じられた。
押し付けた唇は、少しかさついていて、温かかった。
しゅんしゅんと、薬缶が音を立てた。
ゾロが顔を離して、薬缶を見た。
ゾロの顔は発火してるみたいに赤いけれど、きっと俺の顔も負けずに赤い。ぽっぽぽっぽと熱くて仕方ない。
「お湯、沸いちゃった。お茶、淹れるな?」
「ん」
ゾロの唇が、俺の額に触れ、ちゅ、と音を立てた。
「頼む」
腕の力を抜くと、ゾロの腕も、俺の体から離れた。
キス、しちまったなあ。
ぼうっとしながら淹れたお茶は、どんな味だったか覚えていない。
20121222,20130222
は、はずかしい…
やっと、やっとキスしました…
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