『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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「恋、ですって」
「はい?」
「ゾロが。恋。してるんですって」
「ナミさん、何言ってんの?」
「そうよね。そう思うわよね」
「うん?」
「私も思うわ。何馬鹿言ってんの、って」
「うん」
「でも、恋してるんですって。ゾロが」
「それ、誰が言ったの?」
「だから、ゾロが」
「自分で?」
「自分で」
「えーっと、誰に?」
「私に言ったの」
「じゃなくて、えーっと、誰に恋してる、って?」
淡々と続いた二人の会話は、そこで途絶えた。ナミがじっとサンジを見たからだ。
「気になる?」
「そりゃまあ、あのクソマリモが自分で『恋してる』とか言っちゃたりしたんだったら、そりゃあ、どんな天変地異の前ぶれかと」
「ところがどっこい、嵐の前触れすら無いわ」
「…だよねぇ」
波は穏やか。風は穏やか。気候は穏やか。ひたすら穏やかな海である。
「それはもしかして『相手はお前だよ』みたいな新手の告白とか」
「違うわよ」
サンジの、情けない声で発せられた発言は、ナミの、毅然とした声で遮られた。
「ゾロが私に恋とか未来永劫ないから。笑わせないで」
「まあ、そう…いや、ナミさんは魅力的だから…」
「知ってる。だとしても、よ」
「…はい」
「じゃあ、そのお相手、ってのは、…ロビンちゃん?」
「私も一瞬そうかと思ったけど、残念、はずれ」
今、二人は揃って甲板に居る。ひょっとしてひょっとすると逢瀬なんじゃないかとちらりと思ったサンジの眉は、へにょんと下がっている。
「じゃあ、ビビちゃんを遠くで想ってる、とか?」
「それもない」
「じゃあ、どこかの港のレディに一目惚れ?」
「アレがそんなタマなもんですか」
それはそうだが、だったらアレが恋なんてするタマですか?
ナミに対して出来ない反論を心の中で呟いたサンジは、ふと、思った。
「和道一文字の?」
詳しくは知らないが、あの刀はゾロの幼馴染の物で、その幼馴染は女の子で、ゾロとどちらかが世界一の剣豪になると約束したまま天国に行ってしまった、と教えてくれたのはナミさんじゃなかったか。だからゾロは世界一の剣豪を目指しているのだ、と。だったら、ゾロが恋しているのはその子じゃないか。
サンジは確信したけれど、ナミは緩く頭を横に振った。
「ナミさんは、正解、聞いたの?」
「言わなかったわよ、ゾロは。でも、知ってる」
「知ってる?」
「うん。知ってるわ」
俺は、知らない。
ナミさんとゾロが、由々しき事だが割合仲良しなのは、知っている。悔しいけれど。
酒豪同士、飲み比べたりしている。豪放磊落に笑い合ったりもするのだ。
ナミさん、俺にはあんな風に笑ったりしないよなぁ。ゾロとは、喧嘩にしかならないしなぁ。
サンジは、古参クルーの親密さにちょっぴり嫉妬していたりするのだ。悔しいから誰にも言わないが。
「知らないのはサンジ君だけよ?」
「え」
今ナミさんの口から信じられない一言が飛び出した。俺って、仲間はずれ? 皆キッチンにやって来てちょこちょこお喋りしてくじゃないか!
愕然としているサンジを尻目に、ナミはラウンジを去った。その顔は、にんまりと笑みを湛え、まさしくゾロが評する『魔女』の名に相応しいものだった。
それもまた、サンジは知らない。
20121025,1101,1128
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