一つ 2014/08/29__00:00

＊恋は苦しい。

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　一つになりたいと思う凶暴な熱意が、サンジを穿った。
　触れるだけでは足りない。同化する事は叶わない。ならばせめて。同じだけの熱を分けて同じ熱さに。内側に触れる特別をせめて、俺に寄越せよ。注ぐ熱を受け止める熱を、全部俺のものに。

「いつからそんな欲張りになったよ」
　たった一つの為に、命すら捨てていただろう？
　穿たれながらサンジは思う。世界を崩されたあの瞬間を。
　俺なんかを欲しがって、そんなんで、良いの？

「それとこれとは違ェだろ」
　お前は、違う。野望とは全く別に、俺を駆り立てる。

　この思いは苛烈だと、ゾロは思う。身の内から湧き出る。足りる事の無い、涸れる事の無い。身をも焦がしてしまう。
　サンジだけが、沸き起こさせる。受け止める事が出来るのは、サンジだけの。

　いつか、穏やかな気持ち——例えば、愛している、と穏やかに告げる事で満足する様な——に、至る事もあるだろうか。
　ゾロは思う。
　その心境に至るまでの長に亘って——至らないとしても——、共に在らん事を。

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20140828