めんどくさい 2015/01/28__00:00

＊19歳の二人、出会って間もない頃の、短い話

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「女？」
「そ、女の子。それなりにお付き合いとか、してきたろ？」

　夜も深い時間、女の目が届かず酒が入っているとなれば、話題がそちらに流れるのは自然だった。俺達の間に、差し当たって共通の話題に出来そうなのはそれくらいしかない。

「あれェ、ひょっとして未来の大剣豪様は童貞とかァ？」
　からかう様に下から俺の顔を覗き込む瞳は、完全に酔っ払いのそれだ。
「お前と一緒にするな」
　押し退けて言えば口をひん曲げる。
「ふっざけんな、俺ァよりどりみどりだったぜ～？」
　ごにょごにょと女の名前を指折り挙げていく。締まりのない顔が更にだらしなくなる。よりどりみどりだったと言う女達との夜を、逐一思い浮かべているのだろう。

「…めんどくせェ」
　思惑通り、意識をこちらに戻して不満気な顔を見せる。
「あ？何だと？」
「女は、めんどくせえ」
　そう言い直せば、小さく口をとんがらせて主張するは、めんどくさいの権化。
「女の子は、ちょっとめんどくさいくらいの方が可愛いだろ？」

　めんどくさい男なら、可愛いと思わないでもないけれど。

　言ってしまえばより一層めんどくさくなりそうで、口を噤んだ。

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20141217,1218,20150127