『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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「躯は海にでも撒いてくれ。…撒く程残ってりゃァ、の話だがな」
コックは俺にそう云って、蹴りを放った。それは俺の鳩尾にきっちり入った、らしい。というのも、その瞬間に俺の意識は途絶えたからだ。
俺が目を覚ました時、全ては終わっていた。
「…コック!?」
はっ、として巡らせた視線の何処にもコックは居らず、巨体の七武海も居らず、コックの躯も、無かった。目視出来ない程散り散りになってしまったのかと、絶望した。それを結果的に許した自分に。最期の望みも叶えてやれない事に。
という夢から覚めると、目の前にはコックが居た。
「…ゾロ」
コックは横たわる俺の顔を覗き込むようにしている。俺の瞼が開くのを視線で辿り、俺が一度瞬くと、途端にコックの瞳は潤み、俺の頬に雫が垂れた。
ああ、あんな思いをさせたのか。
「悪かった」
恐る恐る頬に触れてくるコックに、云った。
「…全くだ」
こんな風に触れてきながら猶、悪態を忘れないコックを、早く抱き締めたかった。
しかし、体のどこも、動かなかった。
ああ、こんな思いは、させなかった。
俺は再び瞼を下ろした。一刻も早く体の自由を取り戻して、こいつに触れなきゃならない。
次に俺が目を覚ました時、コックは非難がましい顔で俺を見下ろしていた。
「おう、起きたか男前」
憎らしげに聞こえる声色で云うコックはしかし、半分しか見せない瞳を揺らしている。
俺は、重たい腕を伸ばした。掌がコックの頬に触れた。先般の夢は未だ、心を苦く重くさせている。あんな思いを。こいつに、させた。
「悪かったな」
掠れる声で、再び云った。コックの口が歪むのを見た。
「全くだ、馬鹿野郎」
少ししか力の入らない指先に負ける訳もあるまいに、コックの頭は抵抗なく俺の胸に落ちた。
コックの頭部が重しになり、己の鼓動を意識する。
生きている。俺も、こいつも。
「生きてる」
くぐもった声に応える様に、コックの頭を飽く事なく撫でた。
あんな思いは、もう二度と。
20120907,20130407,20140327
*何度でも、何パターンでも、書かずに居れない。
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