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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*現代パラレル → 1 2 3

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 *****
      

 <承前>

 沸々と怒りが込み上げる。あんな視線で唇で俺を翻弄しておきながら、巻き込むな、だと?同じ穴の狢だろう?ふざけんなくそったれ。
「あれ、ロロノアさん煙草吸うんでしたっけ?」
 喫煙室に入って来た数人の怪訝な目を一睨みで蹴散らし、俺は胸糞悪いその部屋を出た。怪訝さが深くなるのを背中で感じる。畜生、巧く立ち回って来たのに。それもこれも全部あの男の所為だ。俺に怪訝な目を向けるあいつらに訊けば名前など一発で分かるだろうが、——絶対に自分から名乗らせてやる。

 俺は一旦あの男の事を忘れた。実際には忘れていない。以前より目につく様になったあの男を視界に認めると、どうしても視線は引き付けられる。けれど声は掛けない。代わりに視線を呉れてやる。分かる者にだけ分かる、特定の者だけに訴求するある種の視線。俺を惹いた、あの。
 但し物欲しさなどは一切出さない。俺が、奴を惹き込むのだ。一秒、しっかり視線を留める。離す時に心持ち上げた口角と共にやんわりと笑ませる。その後は一切見ない。掛からなかった男など、居ない手管。
 お互い遊びに出社している訳ではない。邂逅は精々日に一度か二度。少ないチャンスを逃す程俺は迂闊ではないが、それでも、一人の男に掛けるには異例の長さを要する事になった。敵も然る者。
 最初は、俺の事など目に入らなかった様なあからさまな無視。次は、視線をあからさまに逸らされた。その次は、じっと見詰め返される。その次はまたあからさまな無視。更に次は邪気の無い笑顔。その都度表情を変えられうっかりと、一秒で離す筈の視線がそれに留まってしまう。すると、直ぐに皮肉気な顔で視線だけ残して顔を逸らしやがる。畜生。 

 ちっとも忘れてなど居ないし、その存在感は大きくなるばかりだ。今度はどんな表情が返されるか。楽しみになってしまっている。
 あの男の顔が幾種類も眼裏に浮かぶ様になる頃には、季節はもう冬だった。
 
<つづく> 

20141104,1105,1106
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