『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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<承前>
店の外は、秋の深まる気配を入店時より一層濃くしていた。一陣の冷たい風に首を竦めて、男は言った。
「いつまで俺の肩抱いてんの」
逃げるつもりか。そうはいくか。
「どこが良い?俺の部屋か、お前の部屋か、それとも、ホテルが良いか?」
男はやっと、俺の顔を見た。
「そういうつもりなのか」
「どういうつもりだと思ってたんだ」
「いや、何のつもりも」
男は懐から煙草を出して咥えた。そういや、喫煙室付近でよく見る顔だったか。
「お前、俺の事知ってんの?」
「女の尻ばっか追っかけてるって有名だな、お前」
「へえ、そんな風に有名なんだ、俺。ふぅん…」
吐き出される紫煙は仄かな体臭と混じって不快でない香を纏わせる。
「お前さ、そんな風に有名な俺が、男とそういうつもりになると思うか?」
男はいつの間にか、先程までの酔漢振りをすっかり払拭していた。俺の目を射る瞳はクリアだ。俺に唇を舐められた事など、無かったかの様に。それは如何にも業腹だ。
「カモフラージュかも知れない」
男は鼻で嗤った。
「ホモだってバレるのが怖くて?敢えて女好きを装うって?」
気に食わない態度だが、軽く首肯して解釈の正しさを伝える。
「女性程素晴らしいものなんて、この世に無いぜ?」
なんてくだらない事を言う男だろう。しかし逃すのは惜しいと、バーの暗がりで見た舌が、舌で触れた唇が、今腕に感じる体温が、鼻腔に入り込む香が、俺の手に男の肩を離す事を禁じる。
「なら、新しい扉を開いてみる、ってのは?」
男はにやりと笑った。
「お前と?」
「ああ」
男は更に笑みを深くし、短くなった煙草を道に落として躙り消した。そして、信じ難い科白を。
「てっきりノンケだと思ってたなァ、ロロノアさん」
俺の名を呼んで呉れた流し目は酷く扇情的だった。言われた事の意味を考える余力を、俺から全て奪う程に。ああ、この男、間違いなくこっち側だ。なのに。
「自己開示は、もうちょっと慎重にコントロールした方が良いぜ?」
男は俺の耳に吹き込んで、そのついで唇を軽く耳朶に触れさせた。ぞくりとし、喉を鳴らしたその隙に、俺の腕から男は消えた。急に冷えた胸元に唖然とする。
「バレたら困るんだろう?ロロノアさん。折角巧い事隠せてたのになァ?」
極上の笑顔を残して人混みに紛れた男を、追う事は出来なかった。一人分の体温が去って背中を一筋、冷えた汗が垂れたのを感じた。
<つづく>
20141021,1022
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