忍者ブログ
『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

*2013年4月1日付『告解』続き
 苦いサンウソです。ご注意ください。

拍手




 *****
      



 この海賊船らしからぬ愛らしさのメリーを入手した経緯を、聞いた時だった。
 元の持ち主はウソップに気があったんじゃないか、ウソップだって満更じゃないだろう、いや寧ろウソップの方がお熱なんじゃ?
 そのどれもに顔を真っ赤にして否定してみせたウソップを見て、心臓がちりと灼けた。
 元の持ち主が美しいレディだから、というのではない、と直ぐに気付いて頭を抱えた。
 そのレディがほっそりとした色白で金色の髪をもつ、と聞いた時には更に頭を抱えた。
 鼻の分際で彼女が居るとは何事だ。その彼女が美しいお嬢様だとは何事だ。
 そういう思いが原因だったなら、何も問題は無かった。
 ウソップの心の中に誰か、大事な人が居る。その誰かを羨ましく思う自分に、頭を抱えた。
 そんなの、間違っているのに。
 どうにかしたら俺が、その誰かと掏り替れるんじゃないか、と思った自分に、頭を抱えた。
 そんな事、出来る訳ないのに。

 いつまでも頭を抱えていられる程、俺は思慮深くない。ひっそりと身を引くという選択肢を選べる程、俺は慎ましやかじゃない。なにせ海賊なもので。
 悪い事に、手管は持ち合わせていた。若い男を陥落させるのに必要なものは、たった一つだ。

 お互いイイ思い、しようぜ?

 心までは望まないから。将来なんて要らないから。せめて同じ船に居る間は。手が届く間くらいは。
 快楽を共有するくらい、良いだろう?
 自分さえも欺いていた。

 悪い事をした。
 男同士だから、なんて偏見で人を蔑む様な奴じゃないと、知っていた。優しい奴だと、知っていた。なのに。
 見縊っていたのだ、俺は。
 男同士なんて間違っている、と自分の感情を受け入れる事さえ出来なかった俺と、同列に考えるなんて。
 冒涜していたのだ、俺は。
 体だけ、なんて、無理な奴だった。
 仲間を欲の対象にして、それだけで居るなんて、出来ない奴だった。
 それを分からなかった俺の罪だ。

 キスをされそうになって避けたのは、一瞬湧いた歓喜に、恐れを成したからだ。
 勘違いしちゃいけない。
 この感情は、間違っているんだから。
 体だけ、なんだから。

 本当に欲しかったのは、体じゃなかった、と。
 気付いた時には既に、キスを避けた後だった。
 傷付けた、後だった。

 それでも、誘う事を止められない俺は、もうどうしようもない。罰してくれて、構わない。
 俺を赦せとは言わないから、どうか。
 どうかウソップを、真っ当に戻してやってくれ。


 最初の時以来する素振りを見せなかったから、油断していて避け損なった、ウソップのキスが与えるどうしようもない歓喜と闘いながら、俺は知りもしない神に、縋っていた。


20130424,20140401
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
mail
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[623] [619] [621] [622] [620] [618] [617] [613] [616] [615] [612]
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
アーカイブ
ブログ内検索
最新記事
最新コメント
[04/16 koma@ツツジの花]
[02/23 タカス]
[04/18 koma]
[12/22 koma]
[12/12 ゆう]
プロフィール
HN:
utae
性別:
女性
手書きブログ
忍者カウンター
忍者アナライズ
バーコード
P R
忍者ブログ / [PR]
/ テンプレート提供 Z.Zone