『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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弁当一つで手に入れた11桁の数字を、どうしたもんかと思い悩んでいる。
なかなか男前な客だな、骨とか筋肉とか、しっかりとした良い体をしている。
ああ、ちゃんといただきますを言うんだ。
特盛を米粒一つ残さず綺麗に食べる。
——ごちそうさま、と言った。しっかり俺の目を見て。
良い客だ、と思った。また来ねぇかな、食ってる姿が見てぇな、と思っていたら、来た。それから毎日。
べらべらと話しかけてこないのも好印象だ。どうにもそういう輩が多くて辟易していただけに。
歯並びの美しい、白い歯が、口を開く度にちらりと覗く。
一回に口に入れる量が多くて、頬が丸く膨らむ。それが少しずつ小さくなっていくのが可愛らしかった。全く以て厳つい男だというのに。
姿勢が良い。所作もなかなか美しい。茶は食後に決まって二杯。
『いただきます』と『ごちそうさま』を言う時だけしか聞けないのが残念な声。良い声だ。もう少し聞いてみたい、と思っていた。
店内に他の客が居ない時、思い切って声を掛けた。
気になっていたのだ、毎日特盛牛丼だが、余程好きなのか、他に理由があるのか。
こっそりサラダをサービスし、ぽつぽつと会話を交わす。ちょっとは俺に興味持ってくれたのか。
良い感じだ。
嫌われちゃいないと感じられる程に。もうちょっと思い切ってしまおうと、思わせる程に。
俺に出来る事と言ったら、料理くらいだ。味に飽きているくせに、金が無いばっかりに牛丼を食うしか無いと言うのだから、多分これが一番有効だろう、弁当を渡す。
俺が可愛いレディだったら。多分イチコロ。速攻で落とせる。
そう思う程度には、自信作。
時間を置かれて腹でも壊されちゃ困るから、「早く食え」とメモを付ける。電話番号でも書き添えようか迷った挙句、やめた。
弁当を渡して、その上連絡を待つなんて。
そんなのが許されるのは、可愛いレディだけだろう。
早速返された弁当箱は、綺麗に洗ってあった。ごちそうさま、と。美味かった、と。渡しておいてなんだが、食ったのか、と思う。怖くないのか。何が入ってるか分からんだろうに。
その程度には、信頼を得ている。或いは、何も考えていない——馬鹿なのかも。
でも。
美味かった、と言われたのに気を良くして、更に思い切る。
満更でもない筈だ、あの顔は。あの態度は。
ふざけるな、と、一蹴されても仕方ない。と思いながら聞いた連絡先。すんなりと渡された、電話番号。
どういう意図で聞かれたのか、分かってる、筈。だったら、待たれてる、筈。
バイト開始直前に、ようやっと電話を掛ける。
「俺。サンジ。牛丼屋の」
『ああ』
「連絡、待ってたか?」
『ああ、待ってた。待ちくたびれた。デートプランでも練ってたか?』
「…いや、それはまだ。アンタ、希望は?」
『お前の飯が食いてえな』
「了解」
デートプラン、だって。飯が食いたい、って。
もう、確定。完全に、同じ気持ち。
そういや、まだ名前も知らない。
けれど。安いもんだったと思う予感しかしねえよ。
弁当一つで手に入れた、俺の恋人。
20130426,0428,0429
*後編のラスト「必ず安かったと思わせてやる」がちょっと納得いかないな、と公開後に思ってしまって、これはプロローグだけの話でイイや、と思っていたのにちょろっと続けてしまいました。恋の始まりは、読んでも書いても楽しいなあ。
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