『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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夜が明ける瞬間が、好きだ。
今日も、生きていられる。
少し前までは、憎悪の対象だった。
今日が、始まってしまう。また、一日が。
たった一つの目的の為だけに、命を繋ぐ。どんな過酷であっても、受け入れて、生きる。
彼らに出会う前は。
夜明けの空の美しさになんて、目がいかなかった。
船首。
いつもは船長に占拠されているそこも、この時間なら独り占めする事ができる。
ピークヘッドの脇から、昇り始めた太陽が変えていく空の色を眺めた。闇が光に凌駕されていく様を、愛おしいと思う。
今日も、一日が始まる。愛おしい一日が。
甲板を、軽やかな足音が叩いた。
「ロビンちゃん? どうしたの、こんな時間に。早起き?それとも、眠れなかった?」
「コックさんは、随分早起きなのね。いつも?」
「そうだね、クソゴム船長に、大量の朝飯を用意しなきゃならないし」
金色の筈の髪が緩く光って、とても綺麗。
「好きなんだ、この時間の、空」
穏やかな笑みを一瞬、きっと驚いた顔をしている私に向けてから、コックさんは海と空の際を見た。
この子も、一日の始まりを嬉しく思っている。
「私も好きなの」
彼と同じ所を見た。
青だけじゃない海。青だけじゃない空。
二人で、同じものを見る。同じ、好きなものを。
「ロビンちゃん」
彼が、正面を向いたまま言った。
「好きなものを隣で見る権利を、俺にちょうだいよ」
私はゆっくりと、彼の横顔を見た。
髪に隠された顔が、ゆっくりとこちらに向き、すっとした鼻梁が現れ、右目が、私を捕えた。
静かな瞳が、それが冗談やいつものおべっかでない事を知らせた。
「考えてみて?」
彼は優美な仕草で、一瞬だけ私の髪に触れ、その場を離れた。
私に重い宿題を持たせて、甲板を叩く軽やかな足音は、キッチンに消えた。
20130111
きっとサンジ君は故郷を知らない。一時故郷だった船は(恐らく)沈んでしまった。
ロビンちゃんとサンジ君は、似た様な喪失を抱えている。
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