『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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「サンジ君」
柔らかな声が俺を呼ぶ。
「なんだい、ナミさん」
振り返り極上の笑顔同士を対面させる。
「ぎゅって、して?」
咥えていた煙草が落ちた。
「へ…?」
ナミさんは両手を広げて小首を傾げる。
「…良いの?」
俺は吸い寄せられる様に、両手を広げながらナミさんにじりじりと近寄る。抱き締められる距離まで近寄りはしたけれど、本当にそんな事して良いのか分からなくて、俺の腕は震えるばかりだ。
「早くしてよ」
焦れたナミさんの声は、それでも棘が無い。
ふわりと包んだナミさんの体は、柔らかくて温かい。背中に回されたナミさんの腕が、ぎゅっと俺の胴を締める。胸の下に感じる圧倒的な肉感。やべェよナミさん、鼻血出ちまう。肩にナミさんの頭が乗っかった。
「大好きよ、サンジ君」
体に直接響くナミさんの声に、俺は我を忘れて武者振り付く、寸でで、ナミさんはひらりと体を翻し、俺の腕の中から消えた。
「ゾロ」
顔に影が掛かったと思うと同時に、声が飛んで来た。
「なんだ」
目を開けて応じれば、それだけでは足りないのか、じっと待たれる。仕方なく身を起こすと、良く出来ました、とでも言わんばかりの顔で言われた。
「ふわって、して?」
小首を傾げる様は、例えばコックあたりに言わせればそれはそれは魅力的なんだろうが。
「なんだそりゃ」
素直な俺の疑問に、ナミは気を悪くした様子も無く答えた。
「ぎゅ、だと、骨が折れちゃいそうだから」
失礼な。俺だって女の抱き締め方くらいは心得ている。
むっとしてナミを睨んだが、そんなもので怯むナミではない。満面の笑みを見せやがる。相変わらず悪魔の様に魅力的な笑顔を見せる女だ。
「ほれ、早くしろ」
腕を広げて迎えてやる。
ご希望通り、ふわりと包む。
「満足か?」
問えば、ナミは肩に頭を乗せて言う。
「うん。好きよ、ゾロ」
胸の奥がほんのり熱くなる様な、寧ろ底冷えする様な。
「…ありがとよ」
ナミは鮮やかに笑って、俺の腕の中から消えた。
「今日俺はナミさんを抱き締めてしまったぜ…」
感に堪えないといった趣でコックが言う。なんだナミの奴、ただ人肌恋しかっただけか。
「俺も抱き締めてやったぞ。あいつ、俺の事が好きだっつってたな」
コックの顔が分かり易く青褪める。
「お、お、俺の事なんか、大好きだって言ったもんねっ!」
こんな分かり易いアホ揶揄って何が楽しいんだあの女。
軽く抱き寄せて、背中をポンポンと叩いて言ってやる。
「そりゃ良かったな」
「クッソ、バカにしやがって…」
俯いた顔はきっと、憤怒に赤面し、唇を噛んでいるのだろう。
「俺は、ナミになんて負けねェぜ?」
「バカ言うな!お前がナミさんに勝てるとこなんて、ただの一つもねェよ!」
瞬時に顔を上げがあがあと煩く喚く唇を、塞ぐ。一瞬で、蕩ける。ほら、ナミにゃこんな芸当出来っこねェだろ。
なにせ俺はコックを、ただ抱き締めて大好きだと言う程度じゃ足りないくらい、あー、なんだ、その、あれだ。
きつく抱き合い口内を堪能して、先に進もうと体を僅かに離すと、コックはぼそりと言った。
「あー、ナミさんとの抱擁の記憶が…」
そんなもん、残させてたまるか。コックのたった一言に、腑は煮えくり返る。
ナミなんぞには負けやしないが、コックにはこんなにも。
ちょっと口付けられたくらいでとろんとしちまう俺が不甲斐無い。
腹立ち紛れで呟けば、尚更深い口付けに何が何だか分からなくなる。
全く俺は、どうしちまったんだ。ナミさんに勝てる訳は無いとしたって、こんな筋肉クソ腹巻にさえ、こんなにも。
20140724
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