『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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台風の下を抜けたばかりの船は、どこもかしこも湿っぽくなっていた。今は温帯低気圧、なのだそうだ。嬉々として存在を主張する太陽が、船の乾燥に励んでいる。気化によって一層蒸す船内は、不快の一言だ。じっとしていても、肌に汗が浮く。それがまた蒸し暑さを呼び、不快は高まる一方だ。甲板にでも出れば、乾燥を始めた風がそれも吹き飛ばしてくれるかも知れない。しかしサンジは今、この薄暗い格納庫から出るわけにはいかなかった。
じっとりと肌に浮いた汗が、やがて肌を流れる。同じく汗塗れのゾロに、組み敷かれている。
湿度も不快も、最高潮だ。
ずるりと汗で滑る肌は、生々しい感触に粟立つ。這い回る手と唇と、汗の浮いた熱い肌。
喉が渇く。こんなに湿気ているのに。絶えず流れ込み湧き上がる唾液の存在にも関わらず。吐く息も、肌に感じる息も、熱い。窒息しそうだ。
こんなにも不快で、なのに逃げ出す事も出来ないでいる。この男相手に逃げるなど。そんな矜持では決してない。ある時を境に、快楽が上回るのを、知っている。それは見事な程鮮やかに。
荒い息を耳元に感じながら、サンジは考える。何で、こんな事を。
答えなど、疾うに出ている。言葉にするのを躊躇しているだけだ。
体が求める快楽と、心が求める充足を。己に与えるのが、ゾロだけだから。
ゾロが求める快楽と充足を、己だけが与えられる。優越感にくすぐられる自尊心。
不快を上回る、悦び。
それを何と呼ぶのかなど。知らないでいたいのだ。不快だが、致し方無し。そう、思っていたいのだ。
台風からは逃げる。それは船乗りの正しい在り方だ。波風に翻弄されて転覆或いは沈没、など。冗談じゃない。
既に溺れているなど、認められるものではない。事実はもう、どうしようもなくとも。言葉にして認めるだけの『何か』——強さとか、覚悟とか——が、まだ、少し。
熱を放出し、欲から解放され、魂を抜かれた様なひと時。サンジは長く伸ばした前髪を梳かれ、露わになった額に満足げな息を感じる。
見下ろすゾロの瞳は、存外柔らかい。
それは単に、切羽詰まった欲を解放した直後だからかも知れないが、ひょっとするなら。ゾロは言葉にして認めてしまったからかも知れない。
そうだとするなら、それはサンジには無いゾロの強さであり覚悟であり、それは、サンジを惹き付けて止まないゾロの『何か』に他ならない。
サンジにはそれが悔しく、しかし、この不快から逃げない理由そのものだ。
20140712
*台風から逃げるのが正しい船乗りかどうか、船乗りでない私には不明です。(適当でごめんなさい)
*こんな筈じゃなかった、とサンジ君も思っているでしょうけど、私も思っているんだ。(ただの汗まみれエロになる筈だったんだけど。どうして)
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