『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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コックは、何でもない事の様に言った。
「お前は、俺の為に死んでくれるなよ?」
馬鹿か。
俺が死ぬ事が、お前の為になって堪るか。
コックの目をじっと見て、言う。
「お前は、俺がお前の為に死ぬ様な男だと思うか?」
「思わねェ。だから、安心出来る」
コックは紫煙を追って、何でもない事の様に装いながら視線をずらして、言った。
「俺の為に死んじまいそうな奴とは、おっかなくって付き合ってらんねェよ」
「そりゃ同感だ」
お前が死ぬ事が、俺の為になる事など、あって堪るか。
しかし、コックは恐らく、忌々しい事に、命を投げ出す事に躊躇がない。俺の為とは言わずとも。
おっかなくて、目を離せない。
コックの視線は中空から次第に下り、テーブルの端から手前へと、じりじりと移っている。自分から持ち出した話題を、恐らく持て余して。
馬鹿だ。
釘を刺してやらなきゃならねェ。
「俺は、お前の為に死んだりはしねェが…」
俯いていたコックが、顔を上げる。
「お前が死んだら、生きていられる気がしねェ」
「ハァ?」
コックの顔は見物だった。素っ頓狂に驚いていた。そんな顔を引き出せた事に、内心で大笑いする。しかし顔は神妙を保ったまま。
「だから、お前は死ぬな。生きろよ、俺の傍で」
コックの顔は更なる見物になった。絶句して、首からどんどん赤くなって、髪の先まで赤く染まったかの様に見える頃には、すっかり俯いてしまった。俺の動体視力はコックの目に水膜が張るのを見逃さなかった。旋毛しか見せないコックの、肩が戦慄く。
「…今なら、死ねそうだ」
コックは声まで戦慄かせて、やっと絞り出す。
馬鹿だな。
こんなもんで死なれて堪るか。
「死ねなかったな」
しれっと言ってやれば、コックは俺を穏やかに見詰めて言った。
「しょうがねェから、生きててやるよ」
「お前の傍で」
馬鹿だ。
自分の言った事で、こんなに恥ずかしく、——嬉しいなんて。
20140222,0312
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