『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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裏のビルのオフィスでちらちらと見える金髪が、気になって仕方ない。
しょっちゅう席を立ち、どこに行ったかと思うと隣の部屋で茶など淹れている。給湯室らしい。その正面は、こちらのオフィスの給湯室だ。女共が居る事の多いそこには出来れば立ち寄りたくないが、金髪が茶を淹れる姿はもっと近くで見てみたい。煙草でも吸っているのか、窓から紫煙が流れている事もある。どんな顔して吸ってんだ。見たい。
その金髪が男である事ぐらい、分かっている。どうやらそのオフィスには男しか居ない。何をしている会社かは分からないが、随分カジュアルな格好をした数人の男が、電話してるかパソコンに向かっているか、金髪の淹れた茶を飲み何かを食べ談笑しているのが見える。
どうして男の姿を見たいなどと思うのか分からないが、見たいものは仕方ない。見ていれば、分かるかも知れない。
そこで俺は給湯室で金髪を見る。どうして見たいのか、考えながら見る。時々目が合う。笑いかけたりはしない。笑いかけられもしない。ただ視線が通り過ぎるだけ。どうして見たいのか、の答えなど、一つも返ってこない。だから。俺はまた給湯室で金髪を見る。
金髪が、何かを齧りながら茶を淹れている。丸っこいパンの様な物。そういえば昼食を食い損ねた。腹が減った。後で何か買って来るか。
そうぼんやり思っていると、金髪がこちらを見た。ごそごそ手元を動かして、それから、窓を開けた。こちらの窓を開けろ、といった動きをしている。訝しみながら窓を開けると、何か、茶色い球状の物を握って、投げるぞ、といった動きをしている。
「やるよ」
と言う大声と共にそれが飛んで来た。
手元にすとんと落ちたのは、ラップに包まれた、丸っこいパンの様な物。
「美味いぜ?」
叫んだと思ったら金髪は窓を閉め、消えた。手にした盆から湯気がいくつも上がっていたから、オフィスの方へ持って行くのだろう。皆でおやつか。長閑な会社だ。
ラップを開くと、仄かに甘い匂いがした。
一口齧ると、口の中でほろほろ崩れた。
美味いな、確かに。
噛み締めていると、女が来た。
「あー、ロロノアさんこんな所でさぼって。あら、何食べてるの?おやつ?お茶淹れましょうか?」
「ああ、頼む。紅茶が良いんだが…」
「わぁロロノアさんにリクエストされちゃった!珍しいですねー紅茶なんて。ああ、マフィン食べてるんですね、だったらやっぱり緑茶じゃないですよねぇ」
ああ、煩いな。何で女ってのは、こう、煩いんだ。
「お砂糖は?要ります?ミルクは?ティーバッグしかありませんけど、お湯沸騰させれば大丈夫かな」
「何も要らねぇが、熱いのが良い」
「ハイ。お席までお持ちしますね」
そうだ、向かいの給湯室に金髪が居ないなら、ここに居る必要は無い。
「頼む」
と言って、自席に戻った。
緑茶でも構わないと思ったが、紅茶の方がより相応しい気がしたのだ。
金髪が手にしたポットからは、紅い茶が流れ出たから、それが合うのだろう、と。
茶を淹れている金髪の顔は、とても優しい顔をしていた。たまに目が合った時の冷たい顔とは大違いの。
そういえば、俺がマフィンとやらを受け取った時の顔も、笑顔だった。
また、見られるだろうか。あの笑顔を。見たい。
→3
20130419,0624-0626,0629
*「隣」というより「裏」だな、と思ったので、一ヶ所変更しました。(0710)
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