『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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「なあ、ジジィ、この鳥、なんてぇの?」
「コウノトリだ」
「…コウノトリ?」
チビナスは、自分が食したその鳥の名を聞くと、大きな瞳にぶわっと涙を浮かべ、盛大に泣き出した。
ゼフは、狼狽えた。
「ど、どうした、チビナス」
「うぁあ、…チビナスって言うな…、おれ、おれ、コウノトリ食っちまった…、うゎあーん」
泣き発作が一段落したチビナスが、しゃくり上げながら説明した所によると、
「赤ん坊を運んでくるコウノトリを食べてしまったら、赤ん坊がやって来ない」
から、ショックを受けて、悲しくなって、動揺して、泣いてしまった、らしい。
そういえば何年か前、もっと幼かったチビナスに
「赤ちゃんはどこから来るの?」
と非常に子供らしい疑問を投げられたゼフは、男女のあれこれをレクチャーするのも憚られ
「コウノトリが運んで来る」
と答えた覚えがあった。
その時も、随分幼い質問をするものだと思ったが、声変わりを始めた今になってなお、アレを信じていたのかと思うと頭が痛い。
「ジジィ、おれ、おれ、どうしたら…」
「あー…」
ゼフは、逡巡した。コレに、男女のあれこれをレクチャーしていいものだろうか。
「…キャベツ畑で生まれるから、大丈夫だ」
「キャベツ?」
「そうだ。赤ん坊がキャベツな訳じゃないから、キャベツは食べても大丈夫だ」
「…そっか」
チビナスは、乾いた涙でかぴかぴになった頬を笑ませている。
何が「そっか」なのだろう。
と、思わないではない。思わないではないけれど、納得したらしいので良しとする。
つまりゼフは、面倒だった。
あと何年かすれば、このチビナスも知るだろう。男女のあれこれを。否が応でも。
「おれ、ちっちゃい時さぁ、コウノトリ食っちまって」
「赤ん坊来ねぇ、って思って泣いちまって」
「そしたらクソジジィがさ、『キャベツ畑で生まれるから大丈夫だ』って」
「この畑にも、居んのかね?」
上陸した島でキャベツ畑の脇を歩いた時、アホコックがぽつぽつと話すのを聞いたゾロは、どう返事をしたものか悩んだ。
そもそも、冗談なのか本気なのかの区別もつかない。
「あー」
そんな、声を漏らしただけの返事でお茶を濁したが、普段が普段なだけに、アホコックは気にも留めなかったらしい。
「丈夫に育つといいな」
そう言ってゾロを振り返り、にっこり笑ったアホコックの口元にある煙草には、今は火がついていない。
どうやら本気らしい。
どう育てればこう育つのだろうか。
ゾロは頭を抱えたくなったが、ゾロがこのアホコックと出会ったのは19歳の時で、その頃にはそんな事知っていて当然だと思うのが当然だろうし、そもそもこいつの教育は自分に責任は無いのだし、更に言うならコウノトリだろうがキャベツ畑だろうが自分たちには関係無いので、放っておく事にした。
つまりゾロは、面倒だった。
責任があるとするなら、あの海上レストランのコックであり、決してゾロの所為ではない。
と、ゾロは思っている。
あのチビナスが、男女のあれこれを知る事無く育ち、海賊船に乗り、男同士のあれこれしか知る事無く、子を生さない一生を送る事になるのは、決してゼフの所為ではない。
と、ゼフは思っている。
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