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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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当サイトは本日無事開設二年目を迎える事が出来ました。
 この一年、ありがとうございました。
 今後も、どうぞよろしくお願い致します。

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 誕生日を訊かれるのは、苦痛だった。
 俺の名前と誕生日を知った人間は、まずそのどちらも忘れない。遠慮の無い者になると、鼻で笑う。俺の名付け親に対して随分な非礼だ。

「そういえば、ゾロの誕生日っていつ?」
 航海日誌をつけていた航海士が、何かのついでの様に訊いてきた。
 言いたくないが、言いたくないと思っていると知られるのはもっと嫌だ。誕生日が知れてしまった時に、知られたくなかった理由まで明白になりそうで、それはガキ臭い。

「…11月、11日」
「ぞろ目だな!」
 間髪入れない船長は、屈託が無い。
 最も鼻で笑うだろうと思っていた航海士と料理人だが、そのどちらも特別な反応は示さなかった。
 何故だ。
 こいつらなら、さんざ笑い、からかうだろうと思ったのに。

 茶を淹れていた料理人が、給仕しながら問う。
「ナミさんは、いつなんですか?」
「7月3日よ。サンジ君は?」
「3月2日です」

「お前ら揃いも揃って語呂合わせみたいな…。いや、寧ろ感心するな。良く揃ったもんだ、うん」
 狙撃手が呆気にとられた顔を感慨深げに変えて、うんうんと頷いている。
 なるほど。笑わない訳だ。同じ穴の狢、人を呪わば穴二つ、か。



「俺は5月5日だ!」
 ルフィが胸を張って主張する。
「あら、子供の日じゃない」
「そのまんまだなぁ」
 ナミとサンジは苦笑する。
「俺様は4月1日だぞ」
 厳かに宣言したウソップに、ルフィは手を打って喜んだ。
「俺、その日、知ってる!嘘吐いても怒られない日だろ」
「エイプリルフールな。これまたぴったりじゃねぇか」
 サンジが紫煙を吐きながら笑った。

 ゾロは初めて、自分の語呂合わせの様な誕生日と名前を、捨てたもんじゃないと思った。
 そして、自分と同じ様に語呂合わせの誕生日と名前を持つナミとサンジについて、考えを改める事になる。


「サンジ君はどっちが先?」
 ナミがサンジに尋ねた。それまでの話題にそぐわない質問だと、ゾロは、同じく不思議そうにしているウソップとルフィと、顔を見合わせた。

 しかしサンジは何ら不思議に思わなかった様で、穏やかに答える。
「名前ですね。名前はね、多分、親がつけたんですよ。物心ついた時にはそう名乗ってたし。誕生日は、ジジィ——バラティエのオーナーがね、『てめぇ誕生日はいつだ』って訊いたんです。その日が丁度3月2日でね。多分、日付見て俺の名前連想したんじゃねぇかな。俺、それまで誕生日なんて訊かれた事無かったし『知らねぇ』って正直に言ったら、『じゃあ、今日で良いじゃねぇか。3月2日。忘れなくて良い』って。その日、俺は11歳になりました。俺、誕生日なんて貰っちまって、照れくさかったのかな、『駄洒落かよクソジジィ』って言ったら、『てめぇの小さい脳みそでも、忘れねぇだろ』なんて言うんですよ。それがまた…悪い顔でね。うん、嬉しかったな」
 サンジの顔はうっとりしており、目の前のナミと会話しているのに、きっと、頭の中はあの爺さんで占められているのだろう。

「私はね、どっちもベルメールさんが。ドクターが、7月の頭くらいに生まれたんじゃないか、って言ったんだって。拾われた時乳飲み子だったから、大体の予想はついたのね。じゃあ、7月3日にしよう、名前もナミにしよう、ってベルメールさんが決めてくれたんだって。ベルメールさんは海兵だったからね、海に関係する名前をつけてくれたのね。ノジコはもう自分の名前、言えたからね、私だけ特別。洋服とかはいっつもノジコのお下がりだったから、誕生日と名前だけは、私だけが貰ったんだぞ、って、ちょっとした優越感が持てたわ」
 ナミもほんのり微笑んでいて、幼少時の温かい記憶を思い出しているのだろう。

 ああ、この二人は。穏やかに来歴を語る二人は。生みの親を知らない。過酷な幼少期を過ごしてきたのだ。それを恨む事無く。それによって得たものを、大切な思い出として、胸に仕舞って。

 強い。敵わない。


 相変わらず、ナミは守銭奴な魔女で、サンジは女にだらしない暴力コックで、ゾロが彼らに困らせられる事は多々ある。
 それでもゾロは、彼らに仲間として認められる事を誇らしく思い、そう思える自分を、嬉しく思うのだ。



20121003,1119,20130506,0806,0807,0809

*ナミとサンジの過去を捏造しました。こんなだったら良いな、と思って。
(十歳児が遭難時、親に思いを馳せないって事は、親を知らないって事だと思う。)
*彼らの世界で誕生日は大きな意味を持たず、祝う習慣も無いと思ってますけどね。

*誕生させてくれて、ありがとう。
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