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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*甘めの始まり話

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 *****
      



 夜半、キッチンを片付け終わった所で扉が開いた。そこにはゾロが立っていた。
「酒か? 今日はもう営業終了だ、つまみは無えぞ?」
 声を掛けてもゾロは返事をしない。
 訝しんでゾロを見ると、思ったより近くに居た。切羽詰まった顔をして。

「ちょっとでも嫌なら、本気で逃げろ。それで、無かった事にするから」
 突然左手首を握られて、ぎょっとしていたらゾロが言った。
 腕を、引かれる。
 自然近付いた体は、回されたゾロの左手に後ろから左肩を掴まれ、胸板同士が衝突した。ゾロの左こめかみで左耳を押され、頭が左に倒れて露わになった左首筋に、ゾロの唇が付く。
 きつく吸われた。
 依然左手首は握られたままで、左肩は掴まれたままで、脚を拘束されていないのは「本気で逃げろ」の言が冗談ではない事の証左だろうが、それにしたって。
 そんな目で見られているなんて、知らなかった。その事実だけで頭の中は真っ白だ。俺が逃げさえすれば「無かった事に」出来るのか。俺の為に?

「ちょっとどころか、すげー嫌だけど」
 人肌に、体がほんのり熱くなる。
「だったら逃げろ」
 そう言いながらも、ゾロの唇は俺の首筋を這ったままだ。
「まあ聞けよ。すげー嫌だけど、応じてやりたい気持ちは、有る」
 ゾロの唇が、首筋から離れた。
「なんだそれは同情か」
 ゾロの声が冷たい。
「てめえに同情してやる謂れはない」
 俺の声も冷たい。

「だったら何だ」
 ゾロの唇がまた俺の首筋を這う。
「もうちっと、段階を踏めねえのか?」
 また離れる。忙しない奴だ。
「段階?」

「恋の駆け引きの一つでも楽しんで見やがれってんだ」
「こ、恋っ?」
 密着している体が、ゾロの動揺を伝える。
「え、ちげえの?」
 俺の動揺もきっと、ゾロに伝わっている。

「こういう事したいのって、恋だと思うけど?」
 恋でもないのに、こんな事してえの? 俺の体は、レディの素晴らしい体とは違うのに?

 ゾロは考え込んでいる。強姦しようかって勢いでやって来ておいて、悠長なもんだ。
 そういう所は、割と嫌いじゃない。だから、助け舟を出してやる。
「強姦されるのはごめんだが、恋なら、してみても良いぜ?」

「ならそれで良い」
 そう言って性急に事を進めだしたゾロは、ちょっと可愛いと思う。

 俺はゾロと恋に落ちる事にした。



20130228,0318,0323
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