『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
*****
お花屋さんの前を通りかかったら、店仕舞いの最中だったの。明日は休息日で、この島ではお店はみんなお休みになるらしいわ。売れ残ってしまったんですって。このまま置いておいても、萎れてしまうから、って。いただいたの。少し花弁に傷がついているのよ。でも、とても良い香り。
夕焼けの中のんびりと、百合の花を眺め香りを嗅ぎながら歩いているロビンちゃんを見つけた。声をかけると少し驚いた顔をしてから、そのように言った。少し早口で、少し言い訳めいていた。
町から海へと続く道。延々と続く柵の内側にはプールが幾つか並んでいる。浄水施設のようだ。ロビンちゃんの傍で浄化された水が届くとは、この町の人々は羨ましい。そう思う程、百合の香りを嗅ぐ彼女は綺麗だった。
「花屋さんは、ロビンちゃんのお眼鏡にかなったのかな?」
ロビンちゃんはぱちくりとして、歩みを止めた。
「どういう、意味かしら?」
「だってロビンちゃん、すごく綺麗な顔をしてたから」
ロビンちゃんはいつも綺麗だけどさ。と付け加えて、ウインク。
「よっぽどハンサムな花屋さんだったのかな、って。妬けちゃうな」
顔を寄せて、俺も百合の花を嗅ぐ。確かに、良い香り。気品ある華やかさは、彼女に良く似合っている。
「ロビンちゃんに百合の花を贈るなんて、その花屋さんもなかなかやるね」
唖然としていた彼女は、くすりと笑ってまた歩き出した。
「確かに、ちょっと素敵な人だったけれど、お店はご夫婦でやってらっしゃるの」
「そりゃ残念だ。幸せ、逃しちゃったね?」
彼女は軽やかに笑って、俺のフラワーホールに百合を一輪差した。
「でも、私は船に帰れば一流のコックさんに美味しいお料理を作ってもらえるわ」
とっても幸せよ。
彼女は更に美しく笑って言った。空気にはそろそろ海の匂いが混じっている。まもなく船に着く。ちょっとした逢瀬の終わりを惜しく思いながらも、彼女に幸せを与えられるのなら、それは至上の喜びだ。
二人連れだって船に戻ると、迎えてくれたナミさんが言った。
「あら、結婚でもしてきたの?」
意味が掴めず、ロビンちゃんと顔を見合わせる。
「花嫁と花婿みたいだわ」
確かに。ロビンちゃんの抱えるブーケと揃いのブートニアが俺の胸を飾っている。即席花嫁さんはくすくすと笑っている。
「ナミさん、妬けちゃう?」
軽口で返すと、「馬鹿ね」とこれまた軽口が戻ってきた。
「似非花婿は食事の支度でもしてくるよ」
百合の花を囲む美女二人に心を残しつつ、その場を離れた。ここからはコックさんだ。彼女たちと、ついでに野郎共にも、幸せを与えてやらなけりゃ。
と思っていたのだが。
キッチンの入口で、ゾロがむすりとした顔でこちらを見ている。彼女たちとの会話を見ていた様だ。
「妬けちゃう?」
「馬鹿言うな」
そう言いながらも仏頂面を解かないゾロの耳に、ブートニアを引き抜いてかけてやった。ゾロは一層仏頂面になる。似合わなすぎて笑えるぜ。でも、逆に、似合ってるのかも知れねえな。百合とゾロは、気高さって言うのかな、似通っている気がする。白い花弁が緑の髪に映えて、一層綺麗に見える。
「少し傷ついてなお美しい百合は、ロビンちゃんみたいだろう?」
ちょっとだけ見とれてしまったのが照れ臭くて、言い訳の様に言った。ゾロの態度は益々硬化する。
「お前にも似てるよ」
声を潜めて、胸の傷を指で辿りながら言う。ゾロは僅かに身動ぎ、誤魔化す様に鼻をひくつかせて花の匂いを嗅ぐ真似をした。
唐突に、ロビンちゃんが抱えていた百合の花を投げた。飛んできたそれを、思わずキャッチする。
「あげるわ。あなたにもとても、似合ってる」
「お前にも似てるってよ。良かったな」
少し機嫌を直したらしいゾロは百合の花束を覗き込み、雄しべを指で弾いた。
「花粉がねえな」
「売り物の百合はな、花が開いたら花粉をもぎ取っちまうんだ。受粉すると長持ちしねえんだって」
昔どこかで得た知識を披露する。
「確かに似てるな。子孫を残させてもらえねえとこも」
ゾロは薄く笑って俺の腕を持ち、花束を顔の高さに上げた。百合の陰でこっそり交わした口づけは、気品ある香りに紛れて、堕落の蜜の味がした。
20180102-0112
utaeさんは空気に海の匂いがまじっていた土曜日、浄水施設の柵の続く道でゆりの香りを嗅ぐきみがすごくきれいだった話をしてください。
#さみしいなにかをかく
https://shindanmaker.com/595943
PR
この記事にコメントする
カレンダー
アーカイブ
ブログ内検索
最新記事
プロフィール
HN:
utae
性別:
女性
手書きブログ
リンク
忍者カウンター
忍者アナライズ
P R