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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*6月15日に、まやのさん、komaさんと台場でお茶した際に、共通のお題で一つ書きましょう、という事になりました。
 6月27日にkomaさんが、7月1日にまやのさんが発表されて、出揃いましたよ。さあ、早く読んでいらして。(ご案内が遅いのは通常仕様。もうお読みになりましたわよねえ。)(ちなみに拙作は6月25日付『ロマンスの供与』です)
 折り畳んだ先にちょっと感想など書いております。未読のお嬢様方、カテゴリー『link』から
・『Barcarolle』へ飛び、TEXT→PARALLEL→『カップル☆シートでつかまって』
・『グリンピース』へ飛び、TEXT→パラレル→短編『おれのミッション』
を先ず読んでらしてくださいね。
 おまけで、お二人の作品を読んで滾った妄想を感想代わりに送りつけたものを載っけておきます。(掲載許可、ありがとうございました!)

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 *****
      

 ちっとも隠してませんでしたが、お題は『カップルシート』でした。
 お茶した所がパンケーキ推しの白を基調としたオシャレカフェで、海に面した大きなガラス窓を向いた二人掛けの席が幾つか並んでいたのです。
 そこに案内されてしまった二人、居たたまれない、喧嘩、みたいな単語は出た様な気がしますが、互いに何をどう書くか、全く知らない中で出来上がったお話は、当然それぞれ違って、どことなく似ている…。おもしろいですねえ。
 私達素直ね、と思いました。捻らないね!どれも二人でカップルシートに座ったね!そしてどのゾロもサンジの手を握ったね!
 場所のモデルはどれもあのお店ですよね、海沿いのデートスポット。お題決定の際は午後の明るい光がカップルシートを照らしていて眩しかったのですが、どの二人も夜景を見ましたね。
 そして何よりの共通点は、落ち着かないサンジとどっしりしたゾロ(安定の!)ゾロに捕まっちゃうサンジの話(安定の!)

 以下、感想代わりに送りつけた妄想です。(タイトルは今つけました)
「スピンオフ」と言っていただいた上に「仕事早い」って褒められちゃった。えへへ。
 素敵な企画と素敵なお題、素敵な作品へのお礼(になってると良いな)です。


カップル☆シートでつかまって『暗躍の腐女子(或いは、秘密の数字は“1132”)』
***
 タエとマヤには共通の趣味があった。あんまり人前でおおっぴらにする様な趣味ではない。

 タエは、後輩のサンジと取引先を訪問した際、そこの受付嬢マヤが同じ趣味を隠し持っていると推察した。可愛らしいマヤにメロメロしたサンジがあれやこれやと話し掛け、サンジは気付いていない様だがやや迷惑気に答えるその端々から、それを感知したのだ。タエの勘は外れた事が無い。
 タエはサンジの目をかいくぐり、マヤに連絡先を渡した。同好の者だけに分かる、秘密の数字を添えて。
(飲みに行きましょう!)
 タエは目に力を込めた。
 不思議そうにタエの顔と差し出されたカードを見たマヤは、秘密の数字に気付いたらしい。目がきらりと輝いた。
(語り合いましょう!)
 マヤの目が、タエにそう訴えた。
 その日のうちにマヤはタエに連絡し、その日のうちに二人は飲みに行き、語り合い、意気投合した。

「やだ、あの人」
 マヤが眉を顰めた。
 タエがマヤの視線の先をたぐると、そこには一人の男が仁王立ちしていた。
「今日、会社の前にも居たんです」
 マヤは声を潜める。
「タエさんと、あの…サンジさん?って言ったかしら、ちょっと頭の軽そうな…ごめんなさい、タエさんの後輩を悪く言って」
「良いのよ、あの子、確かにちょっと頭軽いの。悪い子じゃないんだけどね、若くて可愛い女の子前にするといつもあんなで。気持ち悪かったでしょ、ごめんね?」
「良いんです、あれだけ格好良い人にチヤホヤされて、悪い気はしないし…確かに、ちょっと気持ち悪いですよね、黙ってれば本当、格好良いのに勿体無い」
「ね」
「ちょっと“あの子”に似てますよね」
「そうなのよ、でさ、あそこで睨んでる人、“あいつ”に似てない?」
「言えてる!」
 話は脱線した。屈強そうな強面の男に睨まれているというのに、暢気なものだ。
「で、お二人がいらしてた時、受付をじっと見てたんです」
 一頻り笑って、マヤが本筋に戻ると、男はのしのしと二人の席までやって来て、言った。
「おい、あの金髪をどうにかするには、どうしたら良い」
 タエとマヤは丸くなった目を見合わせた。タエの髪は黒く、マヤの髪は焦茶だ。
「あの金髪、ってのは、今日私と会社訪問をしていた長身の男性、の事でしょうか?」
 タエは訊いた。
「そうだ」
「どうにかする、って、のは、その、恋愛的な意味、ですか?」
 マヤは訊いた。
「…そうだ」
 男は僅かに頬を染めた。不遜な態度と裏腹に、実は結構純情なのではないだろうか。

 タエとマヤの大好物である。

「まあお座りなさいよ」
 タエは自分の隣の席を男に明け渡した。
「ビールで良いですか?」
 男が首肯くのを確認すると、マヤはジョッキをオーダーした。


 カップルシートにまつわる捏造都市伝説をサンジに吹き込んだタエは、ついでの様に言った。
「あそこの受付嬢、満更でもなかったみたいよ?」
 サンジからのお誘いを受けたマヤは、どうしてもヘアスタイルが決まらなくて、約束の場には行けないだろう。

 ほんの少し胸が痛まない気がしないでもない。でも大丈夫。
 タエの勘は外れた事が無いのだ。
***
20140628
*拠所無い事情により、タエちゃんに肩入れせざるを得ませんでした。


おれのミッション『店員マコ(仮名)の場合』
***
 私の職場は海を臨む雰囲気のいいカフェのフロアである。お客様は半分がカップル、もう半分の四分の三が女性のグループで、残りはその他。お一人様の女性だったり、ご家族連れだったり。このエリアは夜景が有名なデートスポットだから、夜が近付くに連れてカップルの割合が増える。
 正直、おもしろくない。
 素敵なお客様と素敵なロケーションで素敵な出会いをして素敵な恋に落ちる。
 面接用の履歴書を書いた時、こっそり胸に描いた未来予想図は、私と出会ってくれる素敵な独り身男性客の圧倒的な少なさに、最早風前の灯だ。

 ところが。今日、素敵な男性客がお見えになった。それも二人。お一人は、金髪に碧眼、白い肌で優しげなお顔立ちをなさっている。もう一方は、ギラギラとした眼力が恐いくらいの精悍なお顔立ち。タイプは違えど、どちらも魅力的だ。問題と言えばそれがお二人同時に連れ立ってのご来店だったという事で、つまり女性に興味の無いタイプの方々である可能性があるという点だ。
 お待ちのお客様が捌けていき、お二人の番になった。恐る恐るカップルシートならば直ぐにご案内出来る旨伝えると、ワイルドさんはそれを熱望なさった。この時間帯のこの席、カップルでないお客様はご遠慮なさる場合が多い。カップルでないのにカップルシートに座るのは、微妙な雰囲気が居たたまれないのだろう。それ程当店のカップルシートは雰囲気がばっちりだ。どこか余所余所しい雰囲気で来店されたカップルが、お帰りの際には熱々の雰囲気を醸し出されるのを何度も見てきた。個人的には大変おもしろくないが、店としては商売繁盛願ったりである。やはりこのお二人はカップルでらっしゃるのか。一方、マイルドさんは少し困った顔をしていた。こちらは乗り気でないのかも知れない。オーダーの際私に優しく微笑んでくださったし。私はちょっぴり心弾ませ、お料理を三品運び、お冷やのお代わりを給仕した。
 お席へのご案内から都合七回、このお客様と顔を合わせた事になる。
 大変おもしろくない事に、はじめ乗り気でなかった様に思われたマイルドさんの顔は、この場で見慣れたカップルの表情の移り変わりをそのままなぞっていった。恋に落ちたか恋が深まったか、カップルにとってとても好ましい表情の変化。お会計の間際には、ワイルドさんの掌がマイルドさんの唇に触れ、ワイルドさんの表情はそれまでとはまるで別人の様な笑顔で、マイルドさんの顔はそれはもう見事に蕩けていた。これはおそらく二人だけの秘密、だとお二人は思ってらっしゃるだろうけれど、お二人はシートの上で手を、こっそり、握ってらっしゃった。ソファの背凭れに隠れて見えないと思ってらっしゃるだろうけれど、それは、ガラス窓にひっそりと映っていたのだ。

 おもしろくない、と思っていた私は、それを見て、心が180度変化した。大変良いものを見た。見慣れてしまった夜景よりも、もっと美しく、ロマンティックな。

 その後、私は未来予想図を、ほんの少し軌道修正した。なにも対象を男性に絞る事は無いのではないか。だってあのお二人は同性同士だったけれど、あんなに素敵だった。
 私はますます接客に力を入れ、数々のカップルが誕生するのを、或いは愛を深めるのを、目の当たりにした。おもしろくない、と思う気持ちはその度、良いものを見た、という気持ちに取って代わられ、カップルのご案内に一切の不愉快を感じなくなり、お客様との恋を描いた未来予想図など存在すら忘れた頃、私は閉店後のカップルシートに、オーナーと座る事になった。
 オーナーは独り身の男性で、意外と素敵だ。
 電飾の落ちた、よそ行きの顔を止めた夜景はとてもロマンティックとは言い難い。けれど。
 ソファの上で握られた手はこの上も無くロマンティックで、私は当店のカップルシートの威力を身を以て知る事になった。
***
20140701
*「誰にも見られずひっそりと」って書いてあるのに店員が見てちゃ駄目じゃん!と送ってから思いました。(店員の名前はマコちゃんじゃないかしら、ってのも)

 失礼しました!とても楽しかったです。ありがとうございました!
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