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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*3月2日付『巡り会う命』に入れるつもりで書いていたけど、入らなかった没部分。

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 *****
      



 コックは、何でもない事の様に言った。
「お前は、俺の為に死んでくれるなよ?」

 馬鹿か。
 俺が死ぬ事が、お前の為になって堪るか。
 コックの目をじっと見て、言う。

「お前は、俺がお前の為に死ぬ様な男だと思うか?」
「思わねェ。だから、安心出来る」
 コックは紫煙を追って、何でもない事の様に装いながら視線をずらして、言った。
「俺の為に死んじまいそうな奴とは、おっかなくって付き合ってらんねェよ」
「そりゃ同感だ」

 お前が死ぬ事が、俺の為になる事など、あって堪るか。
 しかし、コックは恐らく、忌々しい事に、命を投げ出す事に躊躇がない。俺の為とは言わずとも。
 おっかなくて、目を離せない。

 コックの視線は中空から次第に下り、テーブルの端から手前へと、じりじりと移っている。自分から持ち出した話題を、恐らく持て余して。
 馬鹿だ。
 釘を刺してやらなきゃならねェ。

「俺は、お前の為に死んだりはしねェが…」
 俯いていたコックが、顔を上げる。
「お前が死んだら、生きていられる気がしねェ」
「ハァ?」
 コックの顔は見物だった。素っ頓狂に驚いていた。そんな顔を引き出せた事に、内心で大笑いする。しかし顔は神妙を保ったまま。
「だから、お前は死ぬな。生きろよ、俺の傍で」

 コックの顔は更なる見物になった。絶句して、首からどんどん赤くなって、髪の先まで赤く染まったかの様に見える頃には、すっかり俯いてしまった。俺の動体視力はコックの目に水膜が張るのを見逃さなかった。旋毛しか見せないコックの、肩が戦慄く。

「…今なら、死ねそうだ」
 コックは声まで戦慄かせて、やっと絞り出す。

 馬鹿だな。
 こんなもんで死なれて堪るか。

「死ねなかったな」
 しれっと言ってやれば、コックは俺を穏やかに見詰めて言った。
「しょうがねェから、生きててやるよ」

「お前の傍で」

 馬鹿だ。
 自分の言った事で、こんなに恥ずかしく、——嬉しいなんて。


20140222,0312
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