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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*いっそ夢オチにしてしまおうかと思った。

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「ねえサンジ君」
「何です?ナミさん」
「私に、ゾロ、頂戴?」
「駄目です」

 目の前で繰り広げられているこの会話は一体何だろうか。
 声色も表情も、にこやかで穏やかだ。しかし内容は剣呑だ。
 ああそうか、何か余興の練習とか、俺の知ってる言語に音声は似ているが意味は全く違う言語で会話されているとか。

「モテモテね、剣士さん」
 現実から逃避しようとした俺の思考を、暗黒女が呼び戻した。畜生、余計な事を。飛んでしまいたかったのに。

 大体あのアホコックがナミの“お願い”に諾と応じないのがおかしい。
「あいつは、本物のコックか?」
「どこからどう見ても、本物のコックさんね」
 その前に、ナミが俺を欲しがるってのはどういう了見だ。
「ナミは、本物か?」
 ロビンは、くすりと笑った。
「剣士さんも、分かっているのでしょう?」
「あれか、金が底をついたから俺の首でも海軍に差し出そうってのか」
 ロビンは一瞬目を大きく開けてから、体を折ってその全身を震わせた。
「おい?」
 体を起こしたロビンは依然背を震わせたまま、その瞳には涙が浮かんでいる。
 ——笑われた!
「ごめんなさい」
 ロビンは細い指で目尻の涙を拭いながら詫びるが、それでも顔は笑ったままだ。

 ナミとサンジはこちらに構わず会話を続けている。
「じゃあ、一晩貸して?」
「駄目です。ナミさん、レディがそんな事言っちゃいけないな。仮にも“ロロノア・ゾロ”ですよ?魔獣なんだから」
 ナミは、ぷぅ、と頬を膨らませた。
「サンジ君は相手してる訳でしょ?」
「そうですよ、俺だから相手出来るんです。ナミさんじゃ、壊されちまう」
「えー、そんなに凄いの?」
 下衆な笑みを顔面に浮かべたナミが、声を落としてサンジに顔を近付けた。
「そりゃぁ、もう」
 サンジも声を落としてナミに顔を寄せる。

 あ、あいつらは、一体何て事喋ってやがる…?
「まあ。そんなに凄いの?」
 ロビンが真面目くさった顔で俺に訊いた。俺の背を嫌な汗が滴る。何も答えられずに居る俺を見て、ロビンは噴出した。
 ——からかわれた!

 こんな事なら、サンジの言う通り、内緒にしておけば良かった。
 そもそもあいつは嫌がったのだ、俺と情を交わす関係だと、クルーに知られるのを。それを無視してクルーの前でぶちまけたのは俺だ。牽制のつもりであったのは否めない。ああ、でもナミは「何を今更」とでも言いた気な顔をしていた。と言うか、誰一人驚かなかったな、サンジ以外。その時点でバレてたって事だ。真っ赤な顔で戦慄いたサンジに海原に蹴り飛ばされて、戻ってみればサンジは開き直っていた。「チョッパーが潤滑剤調合してくれたぞ」なんてご機嫌だった。そういや、散々渋ってはいたが、いざとなったら潔く股を開いた奴だった、俺は頑として譲らなかったのに。腹を括れば潔いし、開き直れば強い。俺はサンジのそんな所にも惹かれた訳で——

「…にやけてるわね」
「ヤダ、だらしない」
「ナミさん、——あげようか?」
「要らない」



20130809

*ナミさんはゾロを(ついでにサンジ君も)からかいたかっただけです。
「開き直っちゃったサンジ君は、からかい甲斐が無くてつまんない」(ナミ・談)
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