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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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*架空の国架空の時代パラレル
*お坊っちゃまゾロ、コック見習いとして雇われた使用人サンジ、秘書的存在ロビン
*続きそうだが続きは真っ白。続かないかも知れない。

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 *****
      



「ねぇひょっとしてロビンちゃんもあいつのお手つきなの?」
「え?」
 しまった!レディ相手に何て事を!
「いや!何でもない!」
 ロビンちゃんは慌てた俺にくすりと笑った。
「あいつ、って?」
 ロビンちゃんの深淵を覗き込む様な瞳に捕えられたら、逃げられない。
「…クソ坊ちゃん」
 ロビンちゃんは猶もくすりと笑う。
「ロビンちゃん“も”、って、他にもお手つきが居るのね?」
「あ、いや、別に」
 しまった、ロビンちゃんが(そんな事あったとしたら何かの間違いには違いないが)クソ坊ちゃんとデキてるとしたならば、あいつが浮気してるってバラした事になる。
「私は坊ちゃんのお手つきじゃないわ」
「…そうなの?」
「ええ。残念ながら」
「…残念なの?」
 ロビンちゃんは更にくすくす笑う。
「他のメイドにも訊いてご覧なさいな。きっと誰もが『残念だけど』と答えるわ」
 えと、どういう事?
「コックさん、坊ちゃんに手を出されたのね?」
「ひぇ」
 変な声出た。なんでロビンちゃんそれを知ってるの。あれ?俺が今そう言ったの?

 あれは三日前の事だ。

「起きろクソ坊ちゃん」
 豪快に鼾をかくクソ坊ちゃんの腹筋に踵をめり込ませると、当人は「ぐえ」と言って体を起こした。変な呻き声を出したわりにはちっとも効いていない様子だ。
「痛ぇな」
「おはようクソ坊ちゃん、朝だ」
 モーニングコーヒーを眼前に出してやる。
 まだ半分しか開かない目で鼻をすんすんと動かしたクソ坊ちゃんはソーサーを受け取ると、カップの繊細な持ち手を太い指で摘み、ぐいと呷った。
「おはようクソコック」
 空にしたカップを俺に手渡し、クソ坊ちゃんはいつもの様に寝間着を脱いだ。

 相変わらず“良い体”だ。しっかりした骨格に、きれいに乗った筋肉。肌は張りがあり、滑らかだ。胸に大きく走る袈裟懸けの傷だけが異形で、それは却って完璧な体躯をより美しく見せる。
 俺はいつもの様に、ちらりとクソ坊ちゃんの体を盗み見て、目を逸らす。部屋を辞そうとすると、トレイを持った手を掴まれた。
「何すんだ」
 クソ坊ちゃんは半裸のまま、俺を睨め付けている。
「…何だよ?」

 クソ坊ちゃんはトレイを俺から奪い、サイドテーブルに置き直した。俺の腕を掴んだまま。
 馬鹿力で引き摺られ、クソ坊ちゃんが俺の腕を放したのはベッドの上だった。慣性の法則で俺はベッドの上に放り投げられる。何すんだ、と抗議しようとした俺の上に、クソ坊ちゃんが跨がり、半身を合わせた。
 俺の耳元で蠢くのは、ひょっとしてクソ坊ちゃんの唇か?
 何で?
「サンジ」
 初めて聞く声色で、クソ坊ちゃんが俺の名を呼ぶのを初めて聞いた。
「俺のものになれよ」
 唇が、首筋に落ちた。
 俺のものって、何?
 クソ坊ちゃんの指が、俺のシャツのボタンを外す。
 何してんだ、こいつ。
 乳首を舐められて、俺は我に返った。
「てめぇ、いつもこんな事してんのか」
 クソ坊ちゃんは、俺の顔を見てにやりと笑った。

 そのままクソ坊ちゃんは舌を出し、俺の目を見たままそれを俺の肌に這わせた。
 ぞわり、とする。
 俺の手足はクソ坊ちゃんの体重でベッドに押しつけられており、身動きが取れない。
 クソ坊ちゃんの瞳が、動物じみている。蛇に睨まれた蛙ってのは、きっとこんな気分だ。
 捕食者の顔がどんどんと近付き、その舌は俺の胸から鎖骨、首筋を通り、顎を乗り越えて唇に到達した。
 クソ坊ちゃんの舌が、俺の唇の左端から右端までを舐めた。そして、尖った舌が俺の上唇と下唇の間に落ち、右端から左端までを割った。
 半開きになった俺の口を満足そうに眺めたクソ坊ちゃんは、俺と唇を合わせた。

 全うな、キス。

 それまでの所業から予測出来た、淫らな、例えば舌同士を搦め合い口内を貪って唾液を交換し合う様なキスではなく、唇の表面だけが軽く触れる。クソ坊ちゃんの唇は、ちゅ、と音を立てる事すら無く、離れた。

「サンジ」
 クソ坊ちゃんは俺の前髪を掻き上げて、満足げな笑顔を見せた。
「俺のものだ」

 それから、何事も無かったかの様に体を起こし、着替えの続きに取りかかった。
 呆然とベッドに転がったままの俺をそのままにして。

 一昨日と昨日と今日の朝。
 起き上がったクソ坊ちゃんはコーヒーを飲み干した後、俺に軽いハグと額へのキスを贈った。

 それだけ。

 三日前のあれは何だったのか、気になるが本人に直接訊いて墓穴を掘るのは嫌だった。
 そこで思い余って冒頭の質問と相成る。

 ロビンちゃんは俺の要領を得ない(そりゃそうだ、微に入り細に入りぶちまける訳にはいかない、限界まで簡略化した)説明を、ニコニコしながら聞いた。そして。
「考えたものね、“クソ坊ちゃん”も」
 と、ミステリアスな微笑みでもって俺をノックアウトして、立ち去ってしまった。



20130725,0726,0808,0819

*一度はやってみたかった主従モノ。
*然し乍らノープラン。
*どうか続きが降って湧きます様に…
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