生クリーム 3 2013/02/21__00:00

生クリーム『1』2月9日付　『2』2月16日付　続き

＊濃厚な生クリームプレイではない、一先ず完結。

---

　ゾロが手元の生クリームと俺の胸元を交互に見ている。てめえそれ俺の体に塗るつもりじゃねえだろうな？
「生クリームプレイなんてしねえぞ変態」
　ゾロは、ちっ、と舌打ちをした。するつもりだったのか変態め。

　大体、何だってんだ、突然。
　今まで、そんな素振りなんて見せもしなかったのに。…いや、ちょっとは見せてたか。俺の事、じっと見たり。
　何か気に入らない事があるがそれを伝える技量が無くて、それが『じっと見る』って行為になったのかと思ってた。或いは何かの気まぐれ。或いは何かの嫌がらせ。
　見られる事には、慣れている。だから、余り気にしていなかった。そんな事もあるかな、程度で。
　それが、挨拶とか、ちょっとした親愛の情を表明するキスじゃなくて、あんな情熱的な、性的なキスをされるなんて。まあこいつに挨拶でキスなんてされても困る訳なんだが。

「つーかさ、お前、そっちの気、あんの？」
「何だよ、そっちの気、って」
　ゾロの不機嫌な声が返る。
「その、つまり、男と、ヤる、」
　ゾロは俺をじっと見た。
「てめえだって、拒まなかったくせに」

　てめえで強引にしたくせに何だその言い草！
「そんな気、無かった。今まで一度も。てめえが悪い。てめえが、そんな気にさせた」
「何だよその言い草！」
「お前の所為なんだよ…」
　ゾロの口調が淀む。
「何で…俺だよ」
　俺の口調まで淀む。
「こっちが訊きてえよ」
　何で不貞腐れてんだ。

「てめえはどうなんだよ」
　まだ不貞腐れた口調のまま、ゾロが言う。
「何が」
「そっちの、気」
「ねえよ馬鹿」
「じゃあ何で拒まねえ」
　ぐうの音も出ない。
「知るかそんなん」
「じゃあ、お互い様だ」

　三たび、キス。今度は、生クリームの味はしない。

　もうこの生クリームは駄目だ。このキスが終わったら、ゾロにバターにさせてしまおう。
　そうしたら、四度目のキスと、五度目の約束をしよう。

---

20130219