夢の叶う日 2013/02/14__00:00

＊未来捏造

バレンタインデーですので、チョコレートの代わりに。
いつもご愛顧くださるあなたに、感謝と愛を込めて。

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「おめでとう」
　名実共に大剣豪となったゾロに、言った。
「夢、叶えたな」
　素直に言えるくらいには、俺も大人になった。

　ゾロは、俺に一瞥をくれると、言った。
「まだだ」
「まだ？」
「ルフィが、海賊王になってねえ」

　そうか、ルフィを海賊王にするのも、お前の夢のうちか。
「違いねえ」
　それは、既に俺の夢でもある。

＊＊＊

　ルフィが海賊王となった。
　ゾロに、言った。
「やっと、夢が叶ったな」

　ゾロは、俺に一瞥をくれると、言った。
「まだだ」
「まだあんのか」
「俺はまだ、奇跡の海を見てねえ」

　奇跡の、海？
「全部の海の魚、たらふく食わしてくれんだろ？」
　オールブルー？

「それは、俺の、夢だ」
　俺の声は震えてないか？
　ゾロの声は揺るぎない。
「だから、俺の、夢だ。まだ、叶ってねえ」

　違う夢を追いかけて、たまたま同じ船に乗って。
　だから、いつか道を違える日が来るのだと思っていた。
　ゾロの夢が叶った日、それは既に俺の夢になっていたと知った。そして、共通の夢がある事も。
　共通の夢を叶えた今、俺の夢がゾロの夢だと、伝えられた。
　どうして、ゾロの夢が俺の夢だと思ったくせに、俺の夢がゾロの夢だと思えなかったんだろう。

「お前の夢が叶って、それで初めて俺の夢が全部叶う」
　ゾロは、こんなにも嬉しい事を、てらいもなく言ってくれるのに。

「叶えるんだろ？俺たちの、夢」
「当たり前だ」
　俺の声は震えてないか？

　いつか、俺の夢が叶う日。
　隣には、ゾロが居る。

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20130207,0210,0212

甘いのをおひとつどうぞ、と思ったのですが。
甘いだけじゃないですね。ほろ苦くもある。
チョコレートってそういうものですしね。