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『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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馬鹿げた衝動だとしても

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 *****
      



 コックの口が半開きだ。
 しきりに鼻の頭に皺を寄せては鼻水を啜り、唇をぺろりと舐めている。
 舐めた直後の唇はぬらりとてかり、直ぐに乾いて、ぷつりと針を刺せば、ぱんと破裂しそうに引き攣れる。
「風邪でもひいたか?」
「あー。そうかも。口ん中が、不味ぃ」
 苦々し気な顔で言うコックに近付き、口に唇をつけて、舌を入れて、口の中を、舐めた。
「別に、不味くねぇ」
 コックが、ぽかんとした顔で俺を見ている。きっと、俺の行動が突然で意外だったからだろう。
「おま、なに、え、今、え、」
「ちゃんと言えよ」
 俺は言いながら、コックの乾いて引き攣れた唇を親指の腹で撫でる。俺の指の腹なんて皮膚が分厚くて固いから、いちいち突っ掛かって、滑らかに動かない。
 滑らかに、したい。
 俺はもう一度、コックの口に唇をつけた。今度は唾液をたっぷり注いで、唇にも塗り付けた。舌で。たっぷり。
 コックはまだ呆然としたままで、息をするのも忘れている様だから、俺の注いだ唾液はコックの口の端から垂れた。
 それを舐め取り、またコックの口に戻る。
 どんどんヒートしてきた。
 コックの舌を搦め捕るのに夢中になった。
 ちゅう、と一際強く吸うと、コックは痛かったのか、正気に戻り、俺を突き放した。

「な、に、」
 コックの瞳が、揺れている。
 言いたい事は、分かる。抗議だろ? だがそんなもの、聞いてやる気は無い。
「不味くねぇよ」
 突き放された距離を一気に詰め、再び口をつける。
 コックの唾液をじゅう、と吸い取り、口を離して、俺の唇を濡らしたそれを、見せつける様に舐めた。
「極上だ」
 そう言ってからまた口をつけようとした俺を、コックの腕が阻んだ。
「てめ、ふざけ、ん、な」
「ふざけてねぇよ」

 ふざけてなんかない。衝動に突き動かされたのは確かだが、至極真面目だ。

「ふざけてねえ」
 俺はもう一度言って、その場から離れた。
 後はてめえで考えやがれ。

 俺も、考えなきゃならねえ。どうして、こんな衝動が湧いたのか。コックの口の味を、知りたいなどと思ったのか。

 ——違うだろ、ごまかしてんじゃねえよ。どうしてコックにキスしたいと思ったのか、だ。
 ——どうして、じゃねえよ。答えなんて、一つだろ。
 ——認めちまえ。

 どんなに馬鹿げた衝動でも、この身から出た、至極真面目な思いだ。
 ふざけてなんか、ない。



20121109,20130107
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