『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
*****
唇に柔らかいものが触れた。
なんだこれ。
確か今俺はキッチンで皿拭きの手伝いを強制的にさせられていた最中で、それを命じたのは生意気なクソコックで、確かキッチンには俺とクソコックの二人きりで、だったら目の前で俺の視界を奪うのはクソコックに他ならないが。
なんで。
そこまで思った時、柔らかいものが唇から離れていった。
その持ち主は、——遺憾ながらどうやらクソコックでしか有り得ないが、目を丸くしているだろう俺を、きょとんとした顔で見た。
「どうしたよ?」
どうしたよ、だと?
「てめえ、何、して、」
心無しか声が震えているような気がする俺に、クソコックはさらりと言った。
「何って、キス?」
「キス、って、」
そんなのは分かってる。けれどクソコックは俺がキスという言葉を知らないとでも思ったらしい。
「ああ、接吻? ベーゼ? 口づけ? 口吸い? 他に何か言い方あったっけ?」
キスの別称なんざどうでも良いんだ。
「あーーっもういい! だから、何でてめえが俺にキスすんだよっ」
「…したいと思ったから?」
事も無げに、あまつさえ疑問形で。
「したかったらして良いのかよ」
「何でしたくもねえのにするんだよ?」
駄目だ話が通じねえ。
質問を変えよう。
「お前は、どうして、俺にキスしたいと思ったんだ?」
「んー?」
首を傾げて瞳をぐるりと回したクソコックは、んー、んー、と繰り返した挙句、呆気なく言った。
「さあ? なんでだろうな?」
もうがっくりとした俺に、爽やかとさえ言える様な笑顔を向けて、クソコックが言った。
「理由なんか、要らねえだろ? したい事すんのにさ」
一瞬、瞠目してしまった。なんかこいつ凄ぇ?
しかし次の瞬間には、俺は立ち直った。騙されるものか。
俺はクソコックに勢い良く頭突きをかまし、クソコックは軽く吹っ飛んで尻餅をついた。
「てめえ、なにすんだよう…」
涙目で睨むクソコックの抗議は、か細い。
「してえと思ったから、した。それで良いんだろ?」
ふんっ、と鼻息荒く宣言してやれば、クソコックはあろう事か、ぷっ、と吹き出した。
「そうか。したかったらして良いんだな?」
クソコックは嬉しそうに立ち上がり、俺の目の前までやって来て、にっこり笑った。
嫌な予感しかせず、しかし動けなかった俺の項に、クソコックの指が触れた。さわさわと、指を動かされる。じわじわと近付いたクソコックが、言った。
「したいから、するぜ?」
唇が、また触れる。軽く触れただけのさっきとは違う、熱量に圧倒される。
ここまで持ち堪えていた半分濡れた皿は、いよいよ俺の手から滑り落ち、床の上で砕けて散った。
20121122,1130,1201
これはゾロサン(襲い受け)なのか、はたまたサンゾロなのか、はお好きな方で。
PR
この記事にコメントする
カレンダー
アーカイブ
ブログ内検索
最新記事
プロフィール
HN:
utae
性別:
女性
手書きブログ
リンク
忍者カウンター
忍者アナライズ
P R