『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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えらく安普請の宿だった。
隣の部屋から男の荒い息遣いが聞こえる。お楽しみかよ、むかつくな。
女を引っ掛けに行くのも買いに行くのも面倒で、酒を飲んで寝てしまおうと思った。明かりを消したら、お楽しみらしい隣室の明かりが壁から洩れてきた。おいおい、どこまで安普請だ。大体、煌々と明るい中でヤッてんのかよ。イイご趣味だな。
荒い息遣いとは別の、喘ぎ声まで聞こえてきた。女の物とは思えない、低さ。おいおい、両方男かよ。物好きも居るもんだ。
男のものだとは分かるが、それの異様な艶っぽさに、好奇心が刺激された。明かりの洩れる一点を、つい、覗いた。
金髪の白い裸体が、男の上で、腰を振っていた。
振り乱した金髪の隙間から、碧い眼が覗いた。申し訳程度の顎髭。渦巻きの眉。
知っている男だ。
上気した頬、だらしなく開いた口、そこから垂れる唾液。そんな顔は、知らない。
無類の女好きの筈だろう?
男の上で逐情して、直ぐさまひっくり返されて、後ろから突っ込まれて、更に喘いで。
あれは本当にうちのコックか?
何だあの色気は。
俺は自身が擡げてきたのを感じた。自分の息が荒くなったのを感じた。鼓動が速くなる。目が離せない。手が、勝手に動いていた。
朝。悪夢でも見た様な気分だ。
飯でも食うかとドアを開けたら、コックと鉢会わせた。
「よう、出歯亀」
「あ?」
「人の閨事覗き見て愉しいかよ?」
知って…?
「興奮した?」
頭にかっと血が上った。
そうか、向こうの息遣いが聞こえるのなら、こちらの息遣いも聞こえて当然か。思い至らなかった自分の迂闊さを呪う。
「愉しませてくれるんなら、お前でも良いんだけど」
誘うのか。俺がお前を見て何をしたのか、知っていて。
羞恥とか憤怒とか、よく分からない感情で口も聞けない俺を横目で見ながら、コックは俺の目の前を通り過ぎて行った。
「明かり、つけたままにしといてくれよ。その方が、よく見えるだろ?」
夜。暗いままだった部屋に、隣室の明かりが洩れる。聞こえてきた声に、我に返る。また、男を銜え込むのか。ふらふらと、引き寄せられる。
碧い眼が、こちらを見ていた。
口の端でにやりと笑いながら、見せつける様なストリップ。
俺が、見ているのを知っていて?
なんて奴。
知らなかった、俺は奴を知っていると思っていた、何も知らなかった。
目を逸らせない、体中の血液が一点に集まる、酸素が足りない、心臓が焼き切れる、こんな俺も、俺は知らなかった。
20121116,1118
謝りたい気持ちでいっぱいです。
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