『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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何をしても駄目な日に、うっかり慰められたりしたら、うっかり恋に落ちてしまったりもする。
あれ以来、俺はフワフワしていて、これはどうやら恋なんだろう、と思う。
目がマリモを勝手に探す。
幾つか、マリモについて気付いた事があるが、中でも俺の心を傷つけるのは、マリモはどうやらスキンシップが好きらしくて、実は誰にでも優しい、という事で、それはつまり、あれは俺に対する特別なものではなかったという事だ。
フワフワしている俺の心は、チリチリと痛む。
あの手が、胸が、恋しかった。
俺にとって特別なそれは、マリモにとって特別でも何でもない。
何をしても駄目だったあの日よりも切実に、今、あの手を、胸を、必要としているのに。
チョッパーの毛繕いをしてやったりとか、ウソップと肩を組んで酒を飲んでいたりとか、ルフィが巻き付いてくるのを自由にさせていたりとか、レディの荷物をひょいと持ってさしあげたりとか、さりげなくエスコートしてさしあげたりとか、そういった事を、何のてらいもなくしている。
そうか。仏頂面で喧嘩腰なのは、俺に対してだけだったのか。
知らなかった。あまりに見ていなかった。
あんなのは、あの時一度きりだった。
こんな事で胸が痛んじまう俺って、乙女。
と思いながら酒を呷った。これが飲まずに居られるかってんだ。
アルコールで補給した分だけ涙が溢れて、目も廻った。
イイ感じで酔っ払っていると、俺の繊細な胸を痛ませる張本人がやって来た。
「一人で飲むなんて、ズリィぞ。俺にも寄越せ」
俺はテーブルに突っ伏したまま、ずび、と鼻を啜って、言った。
「勝手にやれ」
酷い鼻声を聞き咎めたマリモは言った。
「また、何やっても駄目な日なのか」
マリモが隣に座る。
「そうだったら、また慰めてくれんのか」
捨て鉢だ。
「おう。そうでもなきゃ、てめぇには触れねぇ」
そう言うマリモに、片手で頭を、片手で背中を撫でられ、胸に顔を沈めさせられた。
あー、これだ。俺が欲しかったモノ。
なんだか、「本当はいつでも触りたいんだけど」と言われた気もするが、俺は自分に都合の良い解釈をしてしまうくらい弱ってるって事だろう。
折角なので、俺も腕をマリモの背に回してみた。
厚みがあって、張りのある背中だ。ペタペタと掌で堪能していると、少し固い声が降ってきた。
「いつでも慰めてやるからよ、一人で泣く前に、俺んトコ来い」
えらそうだな。生憎俺は、可愛く「うん」と言える程乙女じゃない。
「てめぇこそ、触りたかったら、俺が落ち込むの待ってねぇで、いつでも触れ」
俺を撫でていたマリモの手が、ぴたりと止まった。
「良いのか」
何だよそれ。まるっきり、いつでも俺に触りてぇみたいじゃねぇ?
「お前、スキンシップ好きだもんなぁ?」
わざとからかいの色を声に乗せると、マリモの手はまた俺を撫でた。
「そんな事ねぇ」
「いーや、ある」
「ねぇ」
押し問答だ。
マリモがどんな顔をしてるのか見たくなって、顔を上げた。
マリモは、——真っ赤な顔で、怒った顔をしていた。
「触りてぇのは、てめぇだけだ」
——決定的。
俺は、片手をマリモの後頭部に添えて、ぐんと引き寄せると、耳元に囁いた。
「いつでも、触れ」
それを合図に、俺を優しく撫でていた手は、俺をきつく抱き締める腕に変わった。
俺は今、最高にフワフワしてるから、そうやってきつく抱き締めてないと駄目だぜ?
これからもっと必要になるだろう、その手で。その腕で。その胸に。
20121012
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