目隠しプレイ 2015/04/22__00:00

＊若干ゾロが残念な感じでタイトルに偽り有りで甘い。

---

　視覚を塞ぐと、その分他の感覚が鋭くなるとか何とか。
　人が情報を得るのに頼るのは実に八割以上が視覚からだとか。
　刺激が云々だからごにょごにょ、とゾロが取り出したのは幅約十センチ、長さおよそ二メートルの柔らかな布。
「目隠しプレイ？」
　外したら大変恥ずかしい回答を思わず零したら、まさかの大正解だ。こくこくと尋常でない速さの首肯で、ピンと張られた布が目に当てられた。すぐさまそれは後頭部で交差され、目の上で更に交差される。後頭部で蝶々結びに苦戦する様子が感じられる。
「痛くねえか」
　そんな優しげな声で心配げに。全く的外れ。心配されるべきはお前の頭だろう。俺の視覚を奪って、俺の感覚を鋭くさせて、一体どうするつもりだよ。

　膝頭から腰骨までをゆるゆると撫で上げる手。
　そんなに、変わんねえよ？　いつもと一緒。すげえ、感じる。
　不意に塞がれる口。すぐさま忍び込む舌。熱くて、蕩ける。酸素が足りなくなって、全部どうでもよくなっちまう。
　——いつもと、一緒。

　今は何も見えない目の前にある頬をばんと両手で挟む。夢中になっていたキスを中断されて、ゾロの顔は不服を示しているだろう。何も見えないから、実際はどうだか分からないけれど。
「顔が見える方が、ずっと、いい」
　注がれているだろう視線、でも実際は明後日の方を見ているかも知れない。
　伝わってるんだかないんだか、分からないよりも。ちゃんと感じて、ちゃんと感じさせたいんだ、って分かる方が。よっぽど、感じる。
　お前もそう、思わねえ？

　しゅるりと解かれた布が、頬を撫でて肩まで落ちる。
「確かに」
　柔らかな布より随分固くて熱い掌が、俺の頬を包む。
「見える方が、いいな」
　視線同士で引き合って、睫毛同士が触れ合う。
「だろ？」
　後はもう、言葉だって要らない。
　視線で通じ合う以上の刺激なんて、無ェよ。

---

20150421

＊サンジさんの肩に落ちた布で別の箇所を縛ろうとしてしこたま怒られた残念なゾロさんが居るとか居ないとか（居ません）。