『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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仕方がないのだ。
意識を失っているコックの弛緩した唇、その上部と下部の境目から、透明な液体が一筋流れたのを見た。ほんの少しの血液が混じり、しかし粘性は感じられず、す、と僅かに赤い唾液が顎まで一気に下り、髭に捕われる。溜まった唾液が、ぼとり、と落下したのを、俺は咄嗟に掌で受けた。
少し窪ませ皿状にした掌を、満たす程の量でもないそれは、盛り上がる程の量でもない。さりとて掌に吸収されそうもない。水平を保たなければ掌線に沿って零れ落ちてしまうだろう。俺はじっと掌を見て、コックの口元を見て、唾液の軌跡を確かめてから、ゆっくりと水平を保ったまま掌を持ち上げ、ゆっくりと口を掌に近付けた。舌を伸ばし一息で舐め上げる。
甘露だった。
舌に悦ばしい痺れをもたらしたそれは、一瞬で無くなってしまった。自分の唾液でも濡れてしまったのをおざなりに服で拭い、コックの頬に滑らせる。一瞬感じた冷たさは、発火でもしたかと思う掌の熱で直ぐに分からなくなった。コックの胸が僅かに上下し、再び、甘露が漏れる。
だから、仕方がないのだ。
口で塞いで直接啜る。
口内に舌を差し入れ、血液の供給元を探す。滑らかな頬の内側に一つ引っ掛かりを見つけ舌先で突つくと、一際濃くなった鉄分の味、それに遅れて唾液腺を刺激したか大量の唾液が湧く。
啜るのに夢中になった俺は、コックの意識が浮上したのに気づかなかった。
どこから何が出たのかは、今になっても分からない。否、出たのが足なのは間違いないだろうが。酷く重い衝撃が俺の側頭を襲い、俺は目から星を飛ばしながら飛んだ。味わっていた甘露は、濃い鉄分の味に取って代わられた。コックのより深い傷が出来ている。甘露の記憶が飛んでしまう。畜生。もっと味わっていたかった。また、味わいたい、が。
「てめェ人が意識飛ばしてんのいい事に何しくさりやがる!」
意識が無かった時分は紙の様な色をしていたコックの顔は最早赤い。額に浮いた青筋が良いアクセントだ。
ふと、先程の掌の熱を思い出す。今はどちらが熱いだろう。脈打つ血管に流れるのは、やはり甘露だろうか。それともあれは、唾液と混ざってこそだろうか。
「てめェ聞いてんのか!」
俺がぼさっとしているだけに見えたのだろう、コックがなお吠える。
この激昂具合を見ても、コックが大人しくその答え合わせに付き合うとは思えない。さりとて俺は試したい。ならば。
全てコックの意識が無いうちに。
他に、仕方がないのだ。
20151012,1013
*安定の落ち迷子(すみません)
*駄目ですよ、ゾロ君。然るべき手順を踏んで、許可を得てからにしてくださいね。
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