『ONE PIECE』の腐妄想(主に戦闘員×料理人)や感想など*大人の女性向け腐要素満載
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預かっている鍵で隣家に入ると、和室の押入れが開いて雪崩を起こしていた。すわ泥棒か、と思い身構えると、崩れた布団の隙間から緑色の髪が見えた。耳を澄ませば呻き声も。
「…ゾロ?」
布団の山が蠢く。
「何やってんだ?」
窒息されてはかなわないので、布団を退けてやる。
ぷはぁ、と息を吐いてゾロが飛び出て来た。
「ツリー…もう、出さないと…」
そうか、明日はクリスマスイブか。そういや今年はツリーも何も飾っていない。
「クリスマスツリー、飾りたかったのか?」
「だって、ピカピカしてなきゃ、サンタ、分かんないだろ」
あー……。
去年の事だ。
ゾロと二人でクリスマスツリーを飾った。ゾロの身長と同じくらいの大きさで、天辺の星をつける時は抱っこしてやった。
「もうすぐ小学生なのに」
とからかってやったら、ぷい、と膨れた。まだまだホッペは丸くて柔らかかった。
電飾の調子を確かめる為通電をしたら、ゾロはそれを呆けた顔で見た。目なんかキラキラしてた。俺がコンセントを抜くと、あからさまにがっかりした顔をした。
「ピカピカは、イブの夜だけな」
「何で?」
電気代が勿体無い、と言うのは憚られた。幾らなんでも幼稚園児に聞かせる話じゃない。俺は考えた。
「あのな、ツリーのピカピカは、サンタさんの道標なんだ」
「みちしるべ?」
「この家には、おもちゃを待ってる良い子が居ますよ、って、目印」
クリスマスの朝には、サンタさんが持って来てくれたおもちゃが枕元にあるだろ?
ピカピカしたツリーを目印に、サンタさんはおもちゃを持って来てくれるんだ。
だから、イブにだけ、つければ良いんだよ。
「イブの夜は、ピカピカつけながらチキン食べような」
「おう。ケーキも!」
「オッケー、美味いの作ってやる。白いクリームとチョコ、どっちが良い?」
「んー、白いの。いちごの」
「了解、楽しみにしてな」
「うん!」
そんな、中学生の思いつきを。幼稚園児は小学生になっても覚えていた。
誰もクリスマスツリーを出してくれないのに焦れて、自分で何とかしようとした。
手の届かない場所にあるのを、何とかよじ上って、一人で何とか。
まだ、こんなに小さいのに。ホッペだってこんなにも丸くて柔らかいままなのに。
もっと、気に掛けてやれば良かった。
「来年も一緒に飾ろうな」
そう言って、一緒に飾りを外して、押入れの天袋に仕舞ったのは、俺なのに。
「今年もケーキ、…ある?」
「おう、去年より大きくて美味いの作るぞ。白いのか?」
「いちごの!」
「お前、苺のケーキ、好きだなー」
「うん!サンジのケーキはうまいから!」
ああ、ゾロに先にプレゼント貰っちまった。
「ピカピカさせて、ご馳走食べような」
「うん!」
ごめんな、ゾロ。約束もちゃんと覚えてない、不甲斐無い兄貴分でさ。
明日はうんとご馳走作るからな。来年も、そのまた次も。
ツリーを飾って、ご馳走を食べような。サンタの道標を、ピカピカさせて。
20131224 Merry Christmas !
*文中には出てきませんが、この年、ゾロの家は大変でした。(いずれ本編を、何としても書きたいのです。)
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